2 ダンスダンスデイドリーマ

女の子の家に最後に行ったのは小4の頃だったか。いやほんとはもっとさすがにあるんだけどびっくりするくらい記憶にない。まともな記憶の最後がそれだ。

ゲーム好きな女の子で(しかも得意なゲームは鉄拳とか言ってた)、同じゲームをやっていたもんだから手伝ってほしいって理由で誘われて行ったのだけど本当にびっくりするくらいゲーム弱者だったもんで晴れてアグモンはヌメモンに進化した。
その後は他の女子クラスメイトも合流するなか当時未経験の音ゲーで醜態を晒すなどしていた。何をしていたかの記憶はあるけど誰がどんな気持ちだったかは全く覚えていない。

途中で外に出たとき、いつも遊んでる男友達とばったり会ったときの気まずさったらない。なんか当時は男子は男子、女子は女子、だった。小学校低学年はどこもそうなのだろう。実際女子が団長を務めた年の応援団は下級生の男子がマジで言うことを聞かなかった。敵対勢力と仲良くしてる不貞の輩、みたいな立ち位置を自覚した。
ただ男子女子のいざこざなんてクソくだらねーと既にその当時思っていたのがぶるーれい少年である。ロックな子供だったと思う。生まれたとき家にいた犬はアクセルという名前だった。もちろん来年1月に来日するガンズ・アンド・ローゼズアクセル・ローズからだ。


ちなみに家に呼んでくれた当の女子とは十中八九両想いだったのだが、いかんせんあまりにも自分がチキン過ぎてパラダイス・シティにはたどり着けなかった。最初の給食を一緒に食べてから4年間同じクラスだったものの、クラスが変わって疎遠になってしまった。相手のお母様からも公認状態だったにも関わらずだ。ある意味ではここが人生の分岐点だったかもしれない。ある意味では……いや別にそんなことはないか。

そんな酸いも苦いもありつつ、この男子女子対立構造に心底嫌気が差していたこの少年は中高一貫の男子校を目指すことになる。やめておけ、と言いたい。中高一貫男子校はダメだ。これは本当に未来の子供たちに伝えたい。同級生に制服女子がいない人生がどれだけ虚しいことか…

なお見事志望校に合格した直後、卒業ムードの我がクラスはいつの間にか男女が和気あいあいと過ごしていた。男女グループで映画とか観に行ってた。おいなんだこれは。ロードオブザリングのキスシーンで恥ずかしがってる場合じゃねえぞ女子共。男子も大人ぶって見てんじゃねえ。てかお前らそのまま同じ中学行くだろうが。

なんか拍子抜けしてしまい、卒業したあとは中学の勉強も難しかったのでしばらく寂しい思いを強いられた。
ちなみに中学時代は遊戯王をやっていたこと以外はほとんど暗黒時代なので人様の目に触れるような文章は書けない。もちろんテレビで哀れに特集される犯罪臭のする暗さではないが。

つまるところ、青春の甘酸っぱさにリベンジする機会を失わないためにも、子供を中高一貫の男子校に入れるべきではないと、そう言いたい。テレビの青春時代の体験談とかなにひとつ共感できなかったから。共感と疎遠になると人はひねくれるんだぞ。

ちなみに塾ではなんかわりとモテてたしなんか二人になった瞬間ロマンチックに「いっしょの学校行こうよ…」とか言われてたけど親の手前とか手の届いてる第一志望校とかそんなことに阻まれてハグのひとつもしてあげられなかった。

以後、この酸味にリベンジする機会は無かった。世界大会優勝者のデッキを研究するとか架空請求に怯えるとか90'sJ-POPを聴き漁るとかそんなのしかなかった。

いやでも中高は良い学校ではあったのそれは確か。それでもなんだかこうね、塞がらない隙間と隙間風がありますね。