60 ・・・・・・・・・の曲に別詞を書いてみたので解説

定期公演で・ちゃんたちが持ち曲に別歌詞を書く企画。便乗して2曲ほど書いてnoteに公開している。
動機はふたつある。「曲に言葉を乗せる」という楽曲との向き合い方をメンバーと同様のテーマで行い経験をシェアすることで内側からドッツを感じてみようとしていること、そして中二病が十余年治らず恒常的に詩作を続けてきた結果、ライフワークに近い趣味となり、ゆえに恰好の二次創作の機会となったからである。
考察の論文を書くことも、イラストを認めることも、楽器をもって再現や再解釈に臨むことも自分にはできないが、これなら自分なりにより深くドッツの創作へのコンタクトが取れる、そんな気がしている。

ここでは拙筆ながら書かせて頂いた別詞について解説や語りをしてみたいと思う。いささか野暮かもしれないが、、、

「マフラー」

https://note.mu/blu_01d/n/nfd2db5e3c670

「サテライト」別詞。12/21に書いた。
冒頭の「[H O L Y N I G H T]」がまずあってそこからそのまま書きはじめたもの。この表記自体はクリスマスの街の電飾看板をイメージしていて、まんま視覚的な風景として設置だけしている。歌になればモノローグ化する。以降はなるべくクリスマスソング的なワードを使わないようにしている。

高校生~大学生くらいの女の子をイメージしていて、黒髪を後ろで結んで紺のピーコートに赤いマフラーのイメージがあった。男女問わず友達もそれなりにいて、部活でスポーツをやっているような、世間で総合的にはリア充に分類されるごくごく普通の女の子が今年は一人でクリスマスを過ごすという、そんな設定が自分の中にある。普段は細かく登場人物を設定しないけど、なぜかこれを書くときは自然とイメージができていってた。

作詞するにあたり、実のところ歌詞をちゃんと読んだことないまま挑戦していて、「巨大怪獣」が出てきたのはオマージュではなく偶然。*1 「怪獣」って・ちゃんたちが歌ったらかわいい言葉だな、って思って使いたくなって入れてみた。この部分には別の一節が既に書かれていたけど「怪獣」入れたさのあまりまるごと差し替え。削除したのは「そろそろもう来年のことも考えなくちゃな とはいえど赤白緑 立ち止まってみる」みたいな感じだった気がする。
製作側の立ち上げてる・ちゃんたちの愛らしさ・可愛らしさのイメージと自分の中のイメージがしっかり噛み合っているような感覚があったり。

シューゲイザーサウンドとこのメロディーラインとBPMから「つよがり」を乗せたくなった。なのでこんな歌詞。1番のやたら詩的な言い回し*2から解けてセンチになっていく先で、1番の最後に出てきた「夜はやさしい~甘えてみてもわるくはないよね」はラストで使い回されるにあたりこっちではマフラー的な役割を持ったな、と思ったのでタイトルは「マフラー」。最後の最後であのフレーズを使い回したのは、その先まで書くのはこの曲の主人公に対して野暮だなって思ったからです。

「Nightshaker」

https://note.mu/blu_01d/n/n44606687b859

「きみにおちるよる」別詞。12/26~12/28で書いた。愛すべき赤の似合う推し・ちゃんの課題曲でもある。

タイトルはEarthshaker(=世界を揺るがすもの、重大なもの)から捩ったもので、「Starshaker」にするか迷った。*3
捩ったと言えば雨に関する言葉を捩ったフレーズも入ってる。(死の月*4とか)
星の軌跡写真を雨と重ねて強風と雨からはじまるイメージだったり雪解けや夜明けのイメージだったり地球の自転に取り残されて夜にうずくまってるところから走って朝に行くイメージだったりいろいろ混在してる感じ。

出発点にしたのはシェイクスピア悲劇「マクベス」の「one of woman borne」というフレーズ。劇中で魔女の予言の通り王になったマクベスは、同じく魔女から予言された「女から生まれた者(=one of woman borne)には負けない」いう言葉を信じる。これすなわちすべての人間を意味する言葉で、似たような言葉が聖書にもあり、ゆえにマクベスは自身の不敗を確信していた。*5
一方で 「女の股から生まれた者には負けない」という訳もあり、これ実は「borne(bornの古い表現)」には「自然に生まれた」というニュアンスが含まれ、それをうまいこと筋書きに合わせて訳そうとした結果のひとつだったりする。
マクベスと対峙したマクダフ*6はこれに対し「自分は帝王切開により生まれた(=自然には生まれてない)」と打ち明ける。つまり絶対と思われた(ないし勝手に思い込んでいた)予言を打ち破る存在で、かくして虚ろな確信を折られたマクベスは「運命は自ら切り拓く」と立ち向かうも討ち取られてしまう。

という話のこれは二次創作的にもなっていて、なにがしかの傷からより深い孤独に自分を追い込んできた主人公が「(絶望的な意味で)絶対と信じてたもの」を打ち破ってくれる存在に出逢い、自ら道を切り拓いていくようなストーリーにした。薄い本みたいなねじり方だなぁ。メンバーへの共通テーマが「恋」なので「恋の力で生まれ変わる」感じの話っぽく書いてるつもり。「マフラー」の主人公とは真逆の非リアの更生物語みたいな感じかもしれない。

サウンド全体にナイトフライトと星のイメージが強くあったので、原曲と使ってるモチーフは近いかもしれない。曲だけで世界観ができているから難しかったけれども言葉選びにそこまで不自由はしなかった。

*1:原曲の歌詞には「笑顔の怪獣」というフレーズが登場する。が、意識せずに書き上げた。

*2:ちなみに自分の中で「雪と言わずに雪を表現しようゲーム」が開催されていた。

*3:ぶっちゃけどちらでもいい。というのも話の地点を夜と捉えるか地球を含む星と捉えるかの違いで、そこは視点の違いだけで起こってることに違いはない。

*4:篠衝く雨から。

*5:マクベスは王になったものの自身の保身のために不安なほうの予言の種を摘もうとやたらと暗殺をしかけたり悪政を敷いたりして敵がけっこういた。

*6:マクベスに妻と幼い子供を殺された人。