71 嫉妬ってするもんなんだな

嫉妬とかそんなにしない人間だと思ってたんですけど、なんか今日ふと気付いたんです。もう十年以上前から音楽ライターに嫉妬してる。

たぶん雑誌で読んだB'zのライブレポートだったと思う。自分も観たあのライブの感動を、なんでこうも多彩なボキャブラリーで、ともすれば自分が感じたよりも鮮烈に伝えられるのだろう。

イラストやリミックスのような二次創作ができるわけではない。楽器もできないし自分ができるファン活動といえば、その気持ちを形にする唯一の手段は、言葉を尽くして語ることしかなかった。昔からそうだった。

だから音楽ライターの手腕がとにかく羨ましかった。言葉のバリエーションと彩りを意識して、物事の感想をブログで書くようになった。そんなことをずっとずっと、無意識にできるようになるまで続けてきて、いつしかその原点すらも忘れていた。



自分が唯一というくらい他人に褒めてもらえることって文章力だけなんです。改行まったくしない雑すぎる文でもすらすら読んでしまうと言われたこともありますし、尊敬する作詞家の方にお褒め頂いたこともあります。だからなにに関しても自信がない、自己評価が低い自分が、唯一特技だ、才覚だと誇れるのが文章力なのです。

自分は嫉妬ってそんなにしない人だと思ってました。でもやっぱり人並みにあるし、金で買えるものなら無理して買ってしまったりするし、なにより自分の文章力成育の原点は音楽ライターに対する嫉妬からだったわけです。

頭の中で音読するとかなるべく喋ってる風に書くとか、読みやすい音感とかグルーヴとかは単に自分が読みやすい文章書こうって思ってそうしてるだけで誰かや何かを意識してるわけではないのだけど。

なんの脈絡もなく自分の中の''嫉妬''に気付いたというお話でした。


なんでもグルーヴってありますよね。言葉の持つ音、文字本来の音、句読点、表記、字面、改行、文章や詩の構成はそのすべてにグルーヴがある。
現代口語演劇っていう静かな演劇をやる劇作家・演出家って実はとても音楽好きで、会話で音楽を作るかのようにグルーヴを求めて会話劇作りをするんですよ。面白いな、と思います。自分が知ってる人だけかもですけど。

変な話、文章のグルーヴで人のこと好きになったり苦手になったりします。やばい人はなんとなくそれでわかったりしますしね。