40 ゆるめるモ!ニューミニアルバム「ディスコサイケデリカ」よさみが深いというかもはや幸せを感じるレベル

ゆるめるモ!のニューミニアルバム「ディスコサイケデリカ」がリリースされた。

春の東名阪ツアーでリリースが告知されたときから、「このアルバムは6~8曲くらいで初期ゆるめるモ!らしいファニーで踊れる曲が軸になるのではないか」と直感で思っていた。いやほんとに。

年始から春先にかけてのゆるめるモ!はロックスタイルに傾倒し、ゆるめるモ!が本来持っていた「ゆるさ」や「ちょっと間の抜けた感じ」といった特徴的な風味を押し殺し、これまでグループとして持っていたメッセージ性に焦点を絞ったライブや楽曲を提示してきた。
この時期の活動スタイルには賛否両論ありまくったと思われる。ライブを見れば一本芯の通ったものを魅せてくれるのだが、ではこれはこの先どうやって広がっていくのだろう……正直、この路線に絞ったままなら先が見えないような気がしてしまっていたのも事実。何度か書いた気がするが、自身のカラーの大半を占める過去のワークスを押入れにしまいこんでまでそんな修羅の道を行かなくても……という感じだった。カッコよいロック路線を行くなら強力な競合相手が多過ぎるし、ゆるめるモ!が他との差別化に成功していたのはその部分ではなかったと思う。そこは''そういう側面も魅せられる''というサブウェポン的な強みとして活きていたと考えている。

そんな折のミニアルバムリリース告知。一ファンの妄想として現状打破を期待して考えると、やはり先に書いたような感じのアルバムになる。つまりそういったアルバムを無意識で既に期待していた。

そして発表されたのは、鮮烈な赤色が刺激的なプライマルスクリーム風のジャケット(久々のオマージュジャケットなうえにとてもカラーに合っていたので、この時点でまさにUFO以前のゆるめるモ!が戻ってきたかのようで興奮した)に彩られた「ディスコサイケデリカ」。それはまるで思考を読み取られたかのように、およそ自分がイメージした通りのアルバムだった。
完全な後出しジャンケンだがこれは本当に思っていたことなのでそこはそう言い張っておく。なんとでも言ってくれ。

少なくともロック路線に違和感を覚えたゆるヲタ達がゆるめるモ!に期待していたことってこういうことなんじゃないの?と思う一枚。わからないけど。他のオタクのちゃんとした感想をまだ聴いてない。

ポップでファニーでディスコティックな「モイモイ」を皮切りに、「Electric Sukiyaki Girls」を彷彿とさせるミニマルテクノ「我が名とは」、心を優しく強く掴むような音と言葉のグルーヴを聴かせる「うんめー」、ゆるめるモ!では極めて珍しいラブソングとなるシューゲイズロックバラード「永遠のmy boy」などバラエティ豊かな楽曲がこれでもかと詰め込まれている。

比喩表現もだるいので、ここからは1曲ずつじっくり語っていきたい。


1.melted
作曲・編曲:ハシダカズマ
外国人の会話からはじまる小曲。言ってることはよくわからないが情けない男が女になんか言われてるシュールでゆるいアメリカンコメディ感のあるイントロダクションからはじまり、「ディスコ!サイケデリカ!」「ゆ!ゆ!ゆるめるモ!」というコールが繰り返されるファンキーなオープニングナンバーだ。
夏の野外で聴きたさがすごい。ビールとか飲みながら「ディスコ!サイケデリカ!」と叫びたい、そんな感じ。サマソニのアイランドステージとかでやってそう。行ったことないけど。YouTubeで観れるりんご音楽祭の「なつ おんぶるー」(箱庭の室内楽と共演)の雰囲気とも近いものを感じる。ちょっとアロハシャツとバナナ買ってくるわ。


2.モイモイ
作詞:小林愛 作曲・編曲:ハシダカズマ
アルバムの実質的なスターティングナンバーだが、ここまで気の緩む出だしの曲って今までなかったかもしれない。「ギザギザフリーダム」「モモモモモモ!世世世世世世!」「眠たいCITY vs 読書日記」「Majiwaranai CAts」……うん、ない。「あさだ」もまた違う。あれはあれでぶっ飛んでる。

雰囲気的には「ぺけぺけ」と近いものがある。あの曲は田家さんのバンドのリメイクシリーズのひとつだそうで、やはり''その''カラーが出てたけども、それを今現在のゆるめるモ!が作り上げてきた''らしさ''でもってアップデートしたような曲だ。とっっっってもゆるい。ゆるゆるである。そんなミドルテンポの踊れる感じである。
踊れる感じというかもうファンみんなで踊ろうという振付がある。PUFFYなどを手掛ける南流石御大によるもので、サビではひたすら頭を抱えながらピースをするというなかなか振り切れたやつ。これがとても楽しい。NHK教育でも使えそうな曲になっている。

それでいながら「もういい もういい 魂売りたくない今日は」とエッジの利いた歌詞をサビの頭にぶっ込んでくるあたりとか、「覚悟とか理想とか無理に言わないでいいのよ」といった従来的なアンチテーゼを示してくるあたりはまさにゆるめるモ!節。
しまいには「だらだら笑っていて」である。こんなこと大っぴらに言う歌うたいはなかなかいない。「がんばれ」と言ったり捻った言葉でがんばり方を説いてくるほうがたぶん世の中多い。 
そしてラストの「でも まあ 今日は踊りましょ」がこのアルバムのテーマそのものなんじゃないか?といまのところ思っている。

ちなみにサウンドにもメロディーにもハシダ節が炸裂している。サビ終わりのメロディーとか「その他のみなさん」っぽい。ギターのワウのかけ方とかフレーズのタイム感とかがまさに''ハシダカズマ''という感じ。これがまた相性抜群である。
これも「melted」と同じ印象で、やはり野外フェスでビール飲みながら聴きたい。あ、足元は芝生ね。これ大事。振付楽しいけど野外フェスだったらフリースタイルで踊りたいな。

ゆるめるモ!のニューアンセムになることは間違いない傑作だと思います。


3.うんめー
作詞・作曲:大森靖子 編曲:ハシダカズマ
ゆるめるモ!派として並々ならぬ愛情を見せている大森靖子からの初提供楽曲。
正直言うと、メンヘラ御用達なイメージがあるのと(形の善し悪しを問題にしなければ一応は乗り切ってしまった人間なのだ、自分は)、読んでみたブログの「この人はすごいとわかるけど肌に合わない」感がどうにも否めず食わず嫌いしていた大森靖子がついに曲を提供したぞ、ということでようやっと大森靖子ワークスに触れるに至った次第である。

最初こそ刺さらなかったものの、ライブで観てからかなり印象の変わった曲だ。
同じ短いメロディーを繰り返しまくるサビには中毒性以上に''握力''を感じる。ギターインストとかハードロックの文脈でこのメロディーをやると叩きつけるようなインパクトあるグルーヴになると思うのだけど、そういうグルーヴで優しく包み込むようなことをやっているのがこの曲という印象。ゆるめるモ!が元来持つ''優しさ''という力のステータスをやたらと引き出す高攻撃力の武器を装備させた感じである。これは単にメロディーだけの話ではなく、そこに当て込む言葉選びのセンスが成せるワザでもある。

そして''SSWからの提供曲はハシダカズマがアレンジする''の法則がこの曲でも発動していて、サビの歌がある部分のアレンジを極力シンプルにしているあたり実にわかりみが深い。編曲家としての優秀ぶりが伺える快作になっている。
日陰者なりの強く惨めに美しく生きる術が言葉・メロディー・アレンジ、そして歌にすべて込められている。「絶対ぜんぶうまくいく歌」という無根拠ポジティブ全開のパワーワードがこの楽曲の核心でありそのものでもある。


4.我が名とは
作詞:小林愛 作曲:田家大知・松坂康司 編曲:松坂康司
前曲までとは打って変わってシリアスめな空気が漂う、「Electric Sukiyaki Girls」の「生きろ!!」と「スキヤキ」を掛け合わせたようなミニマルテクノナンバー。3:7くらいの比率かな。
使ってる音も似てる。制作陣も同じだしこれは狙ってるに違いない。歌にしてもけちょんの低音シングが特に「生きろ!!」のそれを彷彿とさせて「ESG」感が出ている。

歌詞の古典的表現の巧みさもまたその印象を決定づけるもので、こういうのも小林愛節のひとつである。十八番という感じ。
ゆるめるモ!ってのはロック然りなパワータイプのボーカリストがおらず、声に優しさが溢れまくっている人たちの集まりなので、こういうワードを隙間なく敷き詰められても質の良い化粧水のように刺激なくすっと染み込んでくるのです。化粧水使わないけど。

あと「生きろ!!」×「スキヤキ」感っていうのはなんかこう、バトルレックスとあくまのきしを配合してコアトルを生んだあの頃のような感覚がある。テリーのワンダーランドは名作ですよね。わかる。(わからない) この例えのくだりいらなかったね。

それはそうと、冒頭に書いたイメージしていたアルバムが「ESG的なもの」だったこともあり、なかなか嬉しい曲だった。ゆるめるモ!には珍しく、''過去やったことある感じの曲''でもある。
とても好きなのだけど、いかんせんミニマルゆえにシンプルな曲で、イントロは短くアウトロはなく極端な転調などもしないのでアルバムの中では流れていってしまう感覚が強い。このアルバム、1枚を通してテンポ感とかがあまり変わらず、構成上の印象的なフックがないのだ。ちょっともったいないポジションに収まってしまった感が否めない。

例えば「うんめー」とこの曲の間に「メルヘン」みたいな曲を挟んでリズムのストリームを一旦止めてみるとか、そういったアクセントがほしかった。スローダンスなんかもいいと思うのだがそういうのは最後の「永遠のmy boy」まで登場しない。
アルバム通して聴くとあまりにも流れていってしまうので1曲リピートをしまくっているけど全く飽きないなこれ。


5.デテコイ!
作詞・作曲・編曲:ハヤシヒロユキ
ポリハヤシ提供第3弾。これまたファニーな曲で、いくつかあるゆるめるモ!らしさの中でも新しめなほうの''らしさ''を全開にさせている。
結構トラックがハードなのがその要因だが、そこはやはりグループのカラーを作ってきたメインライターがいる中でハヤシが自身の領分をしっかり理解して製作しているがゆえだろう。

つまるところどういう曲かというと、「不意打て!!」ばりにフロアが(愉快な意味で)地獄になりそうなエレクトロパンクナンバーなわけです。アイドル的な(というかアニメキャラ的な)可愛さもふんだんに盛り込んでいるのがあざとい。ぎゅ~。
ちなみに「不意打て!!」のあの凄まじく軽い打ち込みでトランス感出すのとは違って、近年のパンク色のある感じを絶妙なバランスで織り込んでいる。ライブでも良いアクセントになりそうな曲。跳ぶしか!

そしてこの曲、けちょんの歌が覚醒しまくっている。その点だけに着目しても「おっ!」となるレベルのやつ。
KAWAIIハードコア銀河」や「WE ARE A ROCK FESTIVAL」諸作のパンクロック色が強い曲の中でにわかに萌芽した才覚を、ハヤシが見事に開花させている。なんせあの人、O-EASTのワンマン見てけちょの歌声を絶賛していた。伸ばすべきとこ・芽が出てるとこをしっかり見つけて的確に栄養を与える''眼''こそがゆるめるモ!にとってハヤシに楽曲提供してもらう最大のメリットなのかもしれない。
ちなみにサビを繰り返してフェードアウトしてく感じはとっても珍しい。そもそもバンド寄りのライブアイドルの曲でフェードアウトがまず珍しい。なかなか新鮮です。


6.ミュージック 3、4分で終わっちまうよね
作詞:小林愛 作曲:田家大知・M87 編曲:M87
このアルバムでぶっちぎりで一番やばい曲。
「Only You」のようなフィードバックから意表を突いて幕を開けるのはブチ上がり系お祭ソング。活きの良いアッパーなロックナンバー……かと思いきや、歌い出すとなんとAメロがひたすら罵倒。しかもかなり辛辣。凄まじく生々しい。

「なにまできない腰抜け野郎」「幸薄い影薄い」「メソメソそんなよクズ野郎」「見てるだけでストレス溜まる」「なんでアイドルやってんだ?」「口先だけの腰抜け野郎」「いてもいなくてもどうでもいいわ」「ぶつぶつ言うなよクズ野郎」「幸せになれるわけないよ」……いやもう想像するだけで便所飯不可避なワードリンチのオンパレードである。便所飯やったことないけど。
その上お祭みたいなコーラスで楽しげに囃し立てる。おいなんだ貶されすぎてとうとう気が触れたか、と言いたくなるレベルである。

このザクザク抉る罵倒フレーズの数々は、なんとメンバーが実際に言われてきたことを言われた人自身が歌うという史上類を見ない自虐ディレクションによるものだという。いくらなんでも攻めすぎである。心身共に激しく健康なときじゃないとこんな芸当はできない。つまるところおそらくこの曲作ったときのメンバーのコンディションは軒並み最高であったと思われる。

何気なく言われてつきまくった消えない傷もいま立ってる場所の土台になっている、というのは割と人間全般そうなのだが、いくらなんでもオープンにしすぎなレベルだ。すげえ。一昔前に流行ったスケルトンタイプよりも色々見えてる。

それでも、それでも!なにかできる気がしてしまう、と言う。なにかしたい、寄り添いたいと強く歌い上げる。ある時期からメンバーが口にしはじめた「ずっと逃げ続けてきたけど、ちゃんと逃げていいんだよって言ってあげられる存在になる」という意志表示ゆえにここまでのことができるのだろう。傷口を風に晒し岩塩でできたナイフでメッタ刺しにしながらも暗がりから抜け出す先陣を率先して切る切り込み隊長的な楽曲である。それにここまで実例出されたら説得力も生まれるというものだ。歌い手のバックボーンがぼやけた応援歌なんかより何倍も響いてくる。

そしてさらに尖ってるのが、音楽と音楽の力にこだわってきたグループでありながら「音楽は気休めなんだ」と言い切ってしまう点。おそらく音楽やったり聴いたりする人間のなかで何割かは気付いてしまうことだと思うのだが、全面的に歌にしているのは見たことがない。
THE YELLOW MONKEYが「人生の終わり(FOR GRANDMOTHER)」という曲の中で「僕が冒されたロックンロールに希望なんてないよ あるのは気休めみたいな興奮だけ それだけさ」と歌う一節がある。それを思い出したくらいだ。

現実的な無力さを自覚し、達観と諦観を一晩寝かせて熟成させ、それでも!と届けようとするエネルギーはハンパじゃない。
しかもゆるめるモ!が「触れようとする」のは「心」じゃなくて「心臓」だ。抽象的なアグレッシブさを脱ぎ捨ててダイレクトに存在をねじ込もうとする捨て身の乱打。ドラクエでいうと「すてみ」は守備力をゼロにして強烈な一撃を喰らわす技だが、これを3:58(まさに3、4分)の間打ち込み続けている。
ネガティブなところからポジティブなところに行くときって凄まじいエネルギーが必要なのだが、それが一番強いときの熱量を生々しくパッケージした曲になっている。
「歌で世界は変わらないなんて そろそろ言ってる場合じゃない!!!!」んだって。それが彼女らを突き動かすすべてだ。

※ちなみに「アイドルに罵倒されるのたまらん」という需要もあるそうです。


7.震えて甦れ(Remastered)
作詞:小林愛 作曲:田家大知・ハシダカズマ 編曲:ハシダカズマ
ぶっちゃけなんでミニアルバムにシングル曲入るねん、と思っていたが、流れで聴いてみるとこの曲の存在感がガラリと変わることに気付かされる。
前曲から間髪入れずにはじまる音のつながりもさることながら、反逆をテーマにした歌詞が「ミュージック 3、4分で終わっちまうよね」の続編的にも思えるのだ。なんというか「ミュージック~」に''エピソード・ゼロ感''を覚える。あるいは''意志''の部分にクローズアップしたかのような曲になっているのである。元々続きものとして「ミュージック~」が先にあったんじゃないかというくらい流れがハマっている。
このアルバムのために作られたような気さえしてくる。前半ここまでカラーの違うものをやっていながらそう思わせてくるあたり、「参りました」というほかない。この曲は間違いなくこのアルバムの1曲として再評価されるべきだ。

既発だが念のため紹介しておくと、ヘヴィーでダークな世界観にフィードバックノイズこと上野翔が全編にわたり炸裂している奇天烈なロックナンバー。やたらめったら転調するわ変拍子バッキバキだわで聴き慣れてないと本当にうなぎみたいな曲だが、祭囃子のようなサビのリズムなど意外にも踊れる要素は多分にある。サウンド面での「ディスコサイケデリカ」を体現しているような楽曲だ。


8.永遠のmy boy
作詞・作曲:Sundayカミデ 編曲:告井孝通
本作で唯一、完全に新規の制作陣による楽曲。シューゲイズ風味のロックバラードで、ゆるめるモ!には極めて珍しいラブソングである。Aメロが本当に最初の1回しか登場しないという少し変わった構成をしている。
外に向いていろいろなんやかんや歌ってきたなかで、やはり異彩を放つスローダンスのこの1曲。「NNN」のような感じではないのだが、どこか静謐な雰囲気を湛えている。なにより歌にフォーカスを絞っているような仕上がりになっている。
内気な自分をちょっとでも変えたくて夜寝る前にするほんのちょっとの決意を、静かな喧騒の中でじっくりと歌い上げるのだ。

なによりこの曲のキモになるフレーズは、サビの頭で印象的に響く「バカヤローさ」である。
自己を叱咤する自虐フレーズは数あれど、およそ''女の子が言うものではないと思われている''言葉であり(ともすればとても現実的だ)、そういった言葉の中でもひときわ鋭いものをセレクトしたといえる。飾りのないこの選定は先の「ミュージック 3、4分で終わっちまうよね」を作り上げたゆるめるモ!にお誂え向きではないか。一人の人間の素直で純度の高い内なる闘いが、この1フレーズだけで見事に表されている。
サビ前にブレイクが入るのもこの一節を最大限に活かすためのものだと思われる。「バ」という音素の強さも加味されているだろう。

ちなみに、この曲案外あっさり終わってしまう。ここからは曲ではなく構成の話になるのだが、アルバムの締めにしてはちょっとあっさりしている。なにかシメのトラックや長めのアウトロがあってもよかったのではないか。それこそ「melted」の外国人の会話をまた最後にやって、アルバムの内容がアメリカの家族だかカップルが観てるテレビの中のことだった、みたいな雰囲気の演出があってもよかったのではないか、という気がする。ちょっと余韻が物足りなかった感はある。

ギブソン社が選ぶドラマー第8位にジョシュ・フリーズという人がいる。かのガンズ・アンド・ローゼズアヴリル・ラヴィーンゆるめるモ!周りでわかりやすいとこだとDEVOでも叩いていた人である。日本ではB'zのシングルに参加したり、吉井和哉のレコーディングやライブに何度か顔を見せている。
「melted」の冒頭でそんな彼のソロアルバムのラストナンバーを思い出したのだ。
妙ちくりんなパンクナンバーをやり切ったあと、突然電話で話す女性の声が聴こえる。しばらくすると打ち込みのリズムトラックが流れ出し、その電話の声がスクラッチで何度もサンプリングされる。正直何がしたいのかよくわからないが、なんだものすごく印象的だった。それまでのアルバムの曲のことは何一つ覚えていないというのに、あの謎箇所のことはよく思い出すのだ。

ちなみに世界的な人気ドラマーであるにもかかわらず、自身のYouTubeには完全に意味のわからないサイケデリックな映像をいくつも投稿している。デキる男は違うというが、デキすぎる男はヤバいのかもしれない。

脱線したけどまぁ、「我が名とは」にしてもそういうSE的なものなどを上手く駆使すればアルバムの全体像にメリハリがついたのではないだろうか、と思うところがある。足りない部分を補う楽曲を追加制作してフルアルバムにしてもよかったのではないかとも思った。
まとめると、楽曲群は文句無しの満点どころかダブルスコア、構成上の詰めの甘さだけはどうしても見えてしまった、という感じ。

ただこれ、今までゆるめるモ!が出したCDの中で一番人に薦めたいCDなんです。
最初に書いたロック路線も含め、通ってきたすべての道を糧にしてこの作品を作り上げた今のゆるめるモ!には、かつてないほどの勢いを感じています。たぶん今までで今が一番いい。
昔は個々人バラバラなパフォーマンスだったけど、O-EASTのワンマンではメンバー全員でひとつの''ゆるめるモ!''という存在を構築していた。ここでやっと''グループになった''と言えるのかもしれない。足並みが揃い互いのことをよく見つめ共に同じ方向へ迷わず進みその道を行く自らを信じる、ということができるようになった今、その延長で生まれたこの作品には凄まじいプラスパワーと多幸感が詰まっている。
「これこそがゆるめるモ!」って大声で堂々と言えるような、そんなミニアルバムが最新作という今がとても嬉しい。

積んでます。