88 ゆるめるモ!が新曲で「NEU!」から「NEO!」になるかもしれない話

新曲「緊急避難速報」、新メンバー3人、新衣装が発表され、FFのほとんどがゆるめるモ!関連の自分のTLはかつてないほど色めき立っていて、かつての2chでいえば「祭」、俗な言葉でいえば確変が起きていると感じます。
関係ないですが、認知症が進んでいる祖母がメダルゲームにハマって活き活きしだしたので時々付き合うのですけども、確変しても手元に来るメダルが大したことなくて全然儲からないんですよね。台が渋いだけでしょうか。ゆるめるモ!はめっちゃ楽しいことになると思いますが。


まず新曲「緊急避難速報」がすごかったというお話です。
作詞・作曲・編曲はWiennersの玉屋2060%さん、リミックスを除けば「サプライザー!」に続き2作目の楽曲提供となります。
以降はゆるめるモ!にとって史上最強の人心レスキューソングとなったこの楽曲の魅力について、好き勝手に語っていきます。

まずは聴くんだ。

サイレン音から超速ドラムンベース的なリズムトラックが加わり、景気の良いカウントと共に爽快なイントロに突入。このイントロのコード進行でまず泣けます。なんかどうしようもなく健気じゃないですか?この進行。
終始登場するサイレン音は実際の警報と異なり、聴く人に不安を与えない音色に調整されていますね。レスキューソングとしての優しさ、そもゆるめるモ!というグループ自体が持つ優しさもこういうところにしっかり表現されています。リフの鈍い金属音を孕んだ音色は「サプライザー!」と共通していますが、こちらはゆるめるモ!特有のはみ出し者感によく合っていて最高にクールです。

 

Aメロからいきなり転調していくスタイルですが、各パートのトラックの情感がそのまま歌詞を反映していて、一貫してドラマチックな曲。

歌詞は全体を通して比喩表現をほとんど使わず、ストレートかつシンプルな言葉のみでクリシェに徹していて、真っ直ぐな言葉の強さが一瞬の隙も見せないパワフルかつリリカルなトラックに乗って、聴く人の耳に強烈にメッセージを刻みつけます。

 

往年のファンからすると「ESCAPE」「逃げろ」「地獄」といったワードからミニアルバム「New Escape Underground!」を連想するのではないでしょうか。
同作には王道アイドルポップながら「地獄みたい」という歌い出しが衝撃的な「逃げろ!!」や、攻め続けるゆるめるモ!の最初にして最長の問題作「SWEET ESCAPE」が収録されており、グループのコンセプトの根幹を描いたこの作品を意識したというか真っ向から引用した歌詞ではないかと思います。

New Escape Underground!

New Escape Underground!

 

ゆるめるモ!は一貫して「自分を大事に」と歌い続けており、その出発点は「逃げろ!!」だったわけですが、「緊急避難速報」は原点を新しい言葉で歌い直した楽曲となっており、令和版「逃げろ!!」ともいえる新しい代表曲になるのではないでしょうか。
新生ゆるめるモ!の「これから売れる感」凄まじいビジュアルと盛り上がりもあいまって、「New Escape Underground!」から「New Escape Overground!」に転じたようにも思えます。「NEU!」でも「NEO!」でも意味が変わらないの面白いですね。

 

そういえばゆるめるモ!が「Run away」という表現を使うのは何気に初めてですね。シャネルズかB'zが思い浮かぶ人もいるかもしれませんが(お前はいくつやねん)、一語の「Runaway」は名詞なので微妙に違います。

 

力強く爽快に、さながら無理矢理手を引いて連れ出すように「逃げろ 逃げろ」と歌い続け、ラストサビが終わったかと思いきや間髪入れずに転調して暗雲が晴れたような晴れやかな大サビに突入。


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「苦しいよね 辛いよね 痛いよね よく頑張った」
「悲しいよね 怖いよね ひどいよね もう大丈夫」

ラスサビの余韻もまだ口の中に入ってる内にこんなキラーフレーズで大サビに入られたらもうびっくりしちゃって0.2秒後にはその言葉にボロ泣きですよね。これライブで泣く人めちゃくちゃいるんじゃないですかね。音源の時点で泣く人もめちゃくちゃいますよね。辛く苦しい環境に置かれているすべての人に聴かせてあげたい1曲です。

 

初となったアニメーションMVは低予算感こそありますが、主人公の表情の機微や楽曲のドラマチックな展開を絶妙なタッチで描き出しています。大サビの抜けるような光景の解放感は心洗われますね。
「アニメーション×リリックビデオ」ってついつい最後まで観ちゃいませんか?最近だとAdo「うっせぇわ」やピノキオピー「リアルにぶっとばす」でこれを実感していて、歌詞を含め楽曲を伝えるという一点に強烈に特化した手法ではないかと思います。ニコニコ全盛期にボカロを通らなかった人間なのですが、この道を通って来た方ならなお一層惹き込まれるものがあるのかもしれません。

 

アウトロでは冒頭のサイレン×超速ドラムンベースに再び戻ってくるのが超絶イカしてますが、このシーンに絶望を抜け出した主人公が別の誰かを救いに行く姿が描かれていて、この一連が示唆しているものは言いようもなくエモーショナルです。


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これについてはメンバーも裏主人公的なところがあって、ぴゅーぴるモ!から昇格したメンバーはゆるめるモ!の楽曲に救われて「次は自分たちが」とステージに立っている子達ですし、生え抜き組にも図らずしてそんなドラマに投影されたメンバーがいるので紹介しておきます。


「可愛い」を忌避している部分があったのは、グループ自体がそういうカラーを打ち出していたという側面も大きいと思っています。それに反発するように、あるいは人並みに「可愛い」を追求するメンバーもいたけど、パーソナルな心情もあいまってそこにフタをしていたのが今までの「ゆるめるモ!のしふぉん」というアイドルであったのかも。
この点においては、彼女も「ゆるめるモ!の救済対象と1人」であったと考えていて、今回「可愛い」にちゃんと向き合うことができたのは、言わば思考や固定観念からの「ESCAPE」の成功であり、どこか大サビで描かれる主人公の姿と重なるものがあります。
実際、今回のビジュアルは今までで一番可愛いし、おそらく意識の上で明確にひとつ上のステージに上がれたんじゃないでしょうか。

 

漫画「僕のヒーローアカデミア」では「ヒーロー(=助ける側)が辛い時、誰がヒーローを守ってあげられるだろう」という命題を、息つく間もないストーリーの折に触れて投げかけています。


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(堀越耕平「僕のヒーローアカデミア」より)

今回の一件はおそらくそのさらに先の話、「ヒーローが救われた姿」を我々は見たということになるのかもしれません。彼女が救える人はこれまで以上に増えるだろうし、新たに生まれてくる説得力もあると思うのです。


ビジュアルを語る上で、やはり最大の貢献をしたのは衣装の成田あやのさんでしょう。無国籍巫女的な神秘感とキュートさが一体となっていて今回の衣装は今までで一番可愛いと思います。


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こういった熱い想いで作ってくれているのが嬉しいですし、今後さらに進化するそうなのでなおのこと楽しみですね。強い想いは創作に宿ります。


新生ゆるめるモ!&新曲「緊急避難速報」の初披露は、4/24に横浜ベイホールで行われる「バトルガルガルガル」となるそうです。
なかなかぶちかましたトラックの新曲をライブハウスの鳴りで聴けるのがすごく楽しみですし、7人でのステージがどうなるか、わくわくしますよね。8~6人時代の曲は当時の見栄えを再現した振付になるでしょうし、2016年から長く続いた4人時代の楽曲は新しい形に生まれ変わります。


対バンもすごく熱いですね。二丁魁はおナカマさん(ファンの呼称)含め素晴らしいグループですし、まなみのりさは意外とまだ観たことないのでとても楽しみです。

ちなみに横浜ベイホール、渋谷クアトロのような忌まわしい柱こそありますが、横長で結構どこからでも見えやすい良いライブハウスです。
平時1,100人キャパですが、ゆるめるモ!が主催でここまで大きなハコ取ることなかったので、何か大きく仕掛けてくるような気がしていたんですが、まさか新体制お披露目になるとは、さすがに予想外でしたね。予想外の楽しさこそ一番楽しいことです。

今夜24時には新曲のサブスク解禁もあるので、これからのゆるめるモ!をより一層楽しんでいきたいですね。

末筆ですが、おれの推しが宇宙一可愛いので新アー写を見て幸せになってください。ご覧いただきありがとうございました。


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87 雑談(ぴゅーぴるは「Only You」をやるか否か)

ぶっちゃけ、「id アイドル」と「Only You」をぴゅーぴるで解禁すると、本家への昇格・不昇格で選別される「研修生」という前提から切り離され、今の全メンバーにより構成される''1グループ''としての独立性を(ことさらに)獲得しうることになるような気がしてならない。

結成1周年、8人時代のワンマンライブは「恐るべき子供たちがやってきた!」と題されている。言うまでもなくジャン・コクトーの小説「恐るべき子供たち」をオマージュしたタイトルだが、アイドルポップスだけに留まらない攻めすぎた楽曲たちをトチ狂ったペースでリリースし、ライブハウスだけに留まらない多彩なフィールドでアナーキーなパフォーマンスを繰り広げてきた初期ゆるめるモ!を指すのに、これほど言い得て妙なフレーズはないだろう。事実、2017年4月の「過去ゆるめるモ!」との対バンにもこのフレーズは用いられた。
研修生グループであるぴゅーぴるモ!は、2016年夏に幕を閉じた6人時代までの楽曲に限定してライブ披露を行っている。「過去ゆるめるモ!」を「恐るべき子供たち」と表現する一方で、それとは区別されているのが現在のゆるめるモ!だ。すなわち、ぴゅーぴるモ!は「恐るべき子供たち」として今のところは育てられている、とか、「恐るべき子供たち」の道筋をなぞっている、と言えるのかもしれない。

「恐るべき子供たち」前後の区別の根拠となるのは、やはり「Only You」、そして「id アイドル」ではないだろうか。


「Only You」はその当時、毎週数回レベルで出演していた対バンライブでほぼ毎回披露することで鍛え上げられ、アルバムツアーのファイナルとなる2015年12月のZepp DiverCityワンマンでひとつの完成を見た。この「Only You」をもってゆるめるモ!は、それまでの「恐るべき子供たち」とは別格の存在に昇華したと感じている。

翌2016年に発表された、もね・ちーぼうの卒業は、確実にそれまで動いていた時間を止めてしまうだけのインパクトがあった。「アイドルらしからぬアイドル」の''アイドル性''を確固たるものにしていたのはこの2人の存在で、この6人のバランス感でゆるめるモ!は完成されていたし、リキッドルーム→赤坂ブリッツと順当にワンマンライブの規模を大きくしながらソールドアウトさせ、Zepp DiverCity公演を成功させるという絵に描いたようなステップアップ・ストーリーから、当時は「ポストでんぱ組」と目されるグループのひとつでもあったのだ。
2人の卒業当日に発表された、残る4人での新作「WE ARE A ROCK FESTIVAL」リリースに際してのインタビューからは、文字の上ながらいつまでも抜けきらない満身創痍の雰囲気が感じられた。

「それでも続けていく」という意思表示の元、4人は休む間もなくはじまった全国ツアーを駆け抜ける。歴代最多公演数のツアー、そのファイナルには再び恵比寿リキッドルームを選び、リード作品の楽曲披露もほどほどに、この日の本編ラストに歌い上げたのは「id アイドル」だった。楽曲をもって今後の自らのスタンスを示したわけだが、この楽曲の持つ意味合いが大きく動いたのはまさにこのタイミングだったと思う。2人の卒業に際し、自問自答を繰り返しながらも、続けていく道を選んだ4人の心にその歌詞がフィットしていったのだろう。楽曲の後に歌い手が当事者になった、と言い換えることもできるかもしれない。同年末のリクエストライブでは投票数1位を獲得した。


ぴゅーぴるモ!が6人時代とそれ以降で作品を区分けし披露楽曲を制限をしていることは、昇格の是非を問う「研修生」という前提特性を保持しうる条件には思えない。どちらかというと、初期特有の濃厚さをメンバーに染み込ませる目的+当時の客層へのアプローチという気がしている。出演の多い小規模ライブハウスの空気ともよく合うのだろう。が、それ以外にも少し感じていることがある。

 

現在は(あくまで6人時代までという制約はあるが)メンバーのリクエストで披露楽曲を決めているそうだ。その中で「id アイドル」はOKだが、「Only You」はまだ早いという見解が示されているとのこと。
前述のようなドラマ性を今はまだ持ち得ないぴゅーぴるモ!が「id アイドル」を歌うこと自体は、リリース当時のゆるめるモ!がそうだったように、違和感のないことなのかもしれない。今現在の楽曲そのものが持つヒストリー(ないしレガシー)を考慮せず、よりフラットにその曲の存在を見つめたなら、それは許されることなのかもしれない。絶望の縁に立ってまで続ける覚悟を歌に載せ得たのは、4人で続けていくという決断にオーバーラップさせられたからだろうが、リリース当時のゆるめるモ!が果たしてそこまでの絶望をその胸に秘めていただろうか。平たく言えば、もねちー卒業前後で「面構えが違う」のだ。

 

一方で「Only You」は「恐るべき子供たち」が次のステージに立った、その頂の先にある曲なのだと思う。新たな地平に存在する、いわばラスボスだし、手中に収めたら最終兵器だ。最初からそういうポジションにこいつはそびえ立っていたと思う。
ライブ初披露がとにかく衝撃的で、この曲がはじまるまで動くことのなかったフロアが目に見えて揺らいだのをよく覚えている。対バン相手は神聖かまってちゃんだった。
「Only You」を披露して遜色ない、と判断されるなら、それはもはや「ゆるめるモ!」たりうる実力を示したということなのではないか。ともすれば、ぴゅーぴるモ!でやることはないかもしれないし、やるとすれば別の形での独立を果たすことになるのかもしれない。
ともかく「やりたい!」「やってほしい!」でやっていい曲かというと、それは違う気がする。そういう扱いをするにはあまりにもバケモノじみている曲なのだ。


少し話は逸れるが、なぜもね・ちーぼうは卒業の道を選んだのか。卒業にあたり、続く作品の音楽性に触れ、方向性の相違を示した2人だ。
決め手としてひとつ確実にあるのは、「WE ARE A ROCK FESTIVAL」への舵取りだろう。残ったメンバーですらも疑問を持ちながらこの作品をレコーディングし、ライブで歌い続けてきた。消化するまでにかなり時間がかかったとも後のインタビューで語っている。
それまでのニューウェーブ感、アイドル界ではゆるめるモ!しかやらないようなアナーキーで変態だけどカッコいい曲……ではなく、探せばそのへんに生えまくっている邦楽ロック路線を打ち出したのがこの作品だ。

この話を何かの折に田家さんに聞いたところ、全身全霊で作り上げた「YOU ARE THE WORLD」が思いのほか世間に届かなかった挫折感がこの作品の原点なのだという。音楽マニアからの評価は高かったが、一般リスナー層からの支持が得られず、言ってしまえばメジャーフィールドに迎合する道を選んだということなのだろう。
結果として、その舵取りがすべてだったのだと思う。その先で客層は大きく入れ替わり、傍目にも迷走と映る時期が続き、「ディスコサイケデリカ」で軌道修正の兆しが見え始めるまではどこか重たいムードが漂っていたように思う。自分はこの時期のゆるめるモ!を1度嫌いになっていた。(理由は昔いろいろ書いたので割愛)

田家さんは作った音楽が良くなかったと思ったようなのだが、ファン目線で見ればあれほどまでに素晴らしいアイドル作品があるものかと未だに思っているし、どう考えたって制作・広告費の不足が届かなかった原因だろう、と思わずにはいられない。良いものだからってそうそうバズりはしないのに、シンデレラストーリーを夢見て挫折したように見える。個人的には、今の環境で同じ濃度の作品を作ったらもっと届いていくだろうと考えている。
つまるところ、自分たちが作ってきた音楽を信じられなかったことが、その当時のゆるめるモ!の罪なのだ。仲間を失い、満身創痍で迷走し、グループとしての出世ルートを見失ったのはきっとそのせいだ。届かないなら無理矢理にでも届かせるくらいの気概が求められる獣道を歩んでいたはずなのに。

それでもここまで辞めずに続けてきたことで出逢えた新しい仲間は確かな財産だ。それはぴゅーぴるモ!のメンバーたちも例外なく、現役も元も分け隔てなく。
実だけを取れば、「モイモイ」や「ナイトハイキング」のような曲はぴゅーぴるモ!にも合うだろうし、昇格を見据えての活動なら(なにねるは僅か5ヶ月で新メンバーとして迎えられたわけで)、むしろディスコグラフィの中で多勢を占める第2次4人時代以降の曲をこそやって然るべきなのだろうと思う。
それでももねちー在籍時までの楽曲限定に固執しているのは、あの当時信じられなかった楽曲たちを、もう一度信じてみようとしているからなのかもしれない。無意識かもしれないし、そもそもそんなことは考えていないだろうとも思うが。


ともあれ、現ぴゅーぴるモ!のメンバーは、自分たちが歌っている楽曲を信じてステージに立ち続けていることだろう。9/6以降ライブを観ていないが、SNSから感じ取れるモチベーションの高さはそういうところにも紐づいていると感じられる。

クリスマスになったら観に行けるのだけど、これが結構楽しみだったりする。どうなっているやら。

86 人体と人生のバグ

母親の抗がん剤治療がはじまった。再発。
投薬開始後しばらくは様々な副作用が出るもので、髪が抜けるというのは有名な話だと思う。初めて見ると他人事でもなかなかショッキングなものだけど、3回目なのでさすがに慣れている。が、どんな顔したらいいのかは未だによくわからない。

1週間ほど前から投薬をはじめたのだけど、2日後くらいにはもう「具合が悪いから早退する」と午後休を取っていた。しかし帰り道その足で「外食に行くぞ」と言われ、家にいた自分はそそくさと着替え付き合うことに。祖母の家に寄り、普段は1人でぼーっとしてるだけの祖母まで連れ出していた。
「ラーメンかフライドチキンを食べたい」と言う。しかし母親が明確に食べたいものがあるというのは珍しく、ケンタッキーのフライドチキンを食べたいと言うことはたまにあるものの、ラーメンを食べたいとは滅多に言わないので少し驚いた。

その後は祖母の家でくつろいでいたのだけど、その時はなかなかに元気そうだった。
とはいっても階段の昇り降りが極端に辛くなったらしく、弱々しく痩せている祖母よりもその足取りは重い。

明確に見える足腰の症状がある一方で、早退するほど具合が悪いのに帰りの道すがら外食まで行ってしまう体調と行動力の乖離(普段なら帰ってきてそのまま15,6時間は寝てしまう人)、食べたいものがやけに明確だったり普段食べないものを食べたがる感じ、身体がバグっているという表現がしっくり来る。本人からも同意された。

風邪とかではないので自分自身の経験則から話はできないし、異次元の症状が多いのでなにか言われてもなにもわからん…となってしまう。難しい。とりあえず「要求がやたら具体的」という特徴はあるので、そこはシンプルにレスポンスしていけばいいのだが。今日は「ミントタブレットがほしい」と言われた。

別居している祖母の介護を母がしている。まだ生活に不自由はしていないので、介護というより認知症にならないために積極的に会うようにしているというほうが近い。
ちなみに、祖父は自分が産まれる前に他界、父親は幼少期に離婚し母は再婚せず、祖母と同居の叔父夫婦(子供なし)は休みになると必ず祖母を家に残して出掛けてしまい、自分はといえば一人っ子で配偶者なし、ついでに視力の問題で免許取れず。先々を考えるとなかなか詰んでいる。

治療で身体がバグるのはあくまで投薬開始期の最初期くらいだったと記憶しているので長期間続くものではないけれど、数年先の未来を考えると本当に自分は何もできないまま介護に追われて何もない中年になるのではないか、といった不安がかなり明確なイメージとして脳内をよぎる。よぎるどころかパレード状態。千葉県のアレより鮮やかかもしれない。

家族の健康は大事なのだが、自分自身の未来がそこまで健康じゃなさそうで、何も持っていない自分は誰よりも器用に生きないと詰みを回避できない気がしている。(ここで言う詰みとは、身の回りのことに追われ、結果として孤独死することである)
とはいっても致命的に不器用なので、やり直せるものならどこかからやり直したい気持ちは常にある。

例えばいつからだろう。小学校2年生の頃、国語の授業で、挙手をし問題の答えを黒板に書く、という場面があった。算数だったかもしれない。その時書いたのは「時間」だ。
書いた直後にその場で教室の隅のデスク(教室に先生用のデスクがある学校だった)に呼び出され、「その漢字はまだ習ってないでしょう」と結構キツめに怒られた。
「分」という漢字を当時の自分は既に知っていて、しかしそれはまだ学校の授業では教わっていない漢字だったのである。だからどうした。俺は知ってる。クソ喰らえもいいところだ。

クソ喰らえもいいところだ、と思ってしまった当時の自分の、その根幹から直さないといけない。たぶん。もっとみんなに同調することを良しとする生き方を胎児の頃から身につけなければならなかった。
漢字を知らなければよかった、とかではない。それは知っててよかったが、それを使うことは処世術的には不正解だったということだ。
ちなみに漢字の知識が(その歳にしては)あったことで、好きだった女の子と良い感じになれたということがあった。4年間クラスが同じだったものの5年から分かれてしまい、そこまで同じだったらもう少し色々違ったかもしれないと思う、そんなアレだった。お相手のお母様からも気に入られていたし、家に呼ばれたことすらもあったのだ。あれが全盛期だった。そしてそこまでだった。とはいっても勉強はそこそこできて良かったなと思う。あくまで小学生までだが。

ちなみに先生とのその一件や、全員足並み揃えろ同じ人間になれという担任のスタンスに保護者面談で触れた母はプッツンしてしまったようで、私立中学への進学を考えはじめた。
ゲームソフトがもらえるという甘言に唆され、腕試ししてみない?と受けさせられた謎の実力テストがそこそこの成績、そしてこれが入塾テストだったのである。ちなみにゲームソフトはもらえなかった。(規定の順位に入れず)
3年生の間だけ行くのかな?と思っていたらなぜか4年になっても通わされ、4年の夏くらいにやっと「中学受験」をするのだと知る。脳味噌お花畑か自分。

みんな同じに足並み揃えて、のほうが人生はイージーモードになる。これはマジ。そして多様性を受け入れ個性を大事に!というのは欧米では当たり前かもしれないのだが、日本ではハードモードである。そうは見えないけど実は傑物、みたいな人間にならないとこっちモードの人生はかなりエグい展開が待ち受ける。

人としての幸せとは何か。ありのままでいられることか。抑圧の中で生きることか。いずれにしても感じ方ひとつでしかないのだ。だから世の中を動かす構造に絶望する頭の良い人もいれば、阿漕な搾取に気付きもせず社会の中の「えらいひと」におんぶにだっこでなんにも疑問に思わず幸せを感じて暮らす人もいる。

哲学なんざどーでもいい。学者でもあるまいし飯は食えん。
ともかく、ハードモードで取り返しもつくのかつかないのか微妙な年齢まで生きてきてしまった自分で。もうほんとどうしようって感じである。

この歳まで彼女なし。ヤバい。浮いた話のひとつやふたつ大学時代まではあったのだけど、鈍感だったのか自己肯定感が低すぎたのか、学生時代にはフラグクラッシュと思しきシチュエーションと言動の履歴が多数見受けられる。
ちなみに中高は男子校だった。女子との接触がない青春時代。小学校卒業の少し前、同じ塾にいたフランス人形をそのまま等身大サイズにして動かしたような美少女から「一緒の学校行こうよ…」と切ない声で言われた逗子駅の連絡橋が忘れられない。第一志望の男子校とその子が受かった共学にも受かっていた自分、大人たちに何を言われるか…と怯えた自分には受け入れる器量がなかった。当時の子供で携帯電話を持っている子は稀で、卒業以来会うことはなかった。
大学時代は演劇に打ち込んでいて、やたら忙しくしていた。当時はそれでやってくんだくらいに思っていて、忙しい自分に酔いまくっていた。学生らしい青春を尽く棒に振っている。いつだってリア充とウェイは糞だと思っていた。なんか学生らしい華を持った話があるかと言われると、出会ってすぐやけに懐いてきて飲み会でキスまでしてきた女に告白して「好きだけどそういうんじゃないんだよな」とフラれ、後日なぜかそのフラれた女に誘われホテルで一晩明かすことになるも意地張って何もせず朝を迎えたりといった謎ダメエピソードが2,3あるくらいで(ピュアすぎでは?)、彼女の作り方とかもう全然わかんなくなってしまったというかそもそも知らない。なんなら友達との遊び方すらもよくわからなくなってしまっている現状。

それを別に不幸なこととはもう思っていない。幸せとは感じ方次第であり、独りは独りなりの楽しい人生がある。「取り立てて不幸ではない」という「幸福」は今、間違いなくこの手の中にある。なによりではないか。
一方で、兄弟もいないので自分が生涯独身なら末代になるし(万が一その手の人の恨みを買っても祟りを恐れる心配はなくなる)、子供はほしいし、子供を授かれれば自分が親にされて嫌だったことなどの反省を踏まえてしっかり幸せな人生を歩ませてあげたいと思う。褒めて、肯定して、話をちゃんと聞いてあげて、普段からポジティブをしっかり貯金して生きられる、そんな風に育ててあげたい。そんなことは常々思っている。

そんな未来は来るものだろうか、例えば母が祖母にしてあげているようなことを、自分は母にできるだろうか。難しい気がする。まず運転できないし。
やがて自分に介護が必要になってきたとき、一体どうしたらいいのだろうか。希望の光が少しくらいは残っていないと、いつか人生を諦めてしまいそうだ。怖いけど怖くない。絶対的な拒否の感情はない。

三途の川を自分から進んで渡りかけたことがある。寸前までいって初めてわかったことだが、死んだら何もない。ゼロですらなくなる。寝てる間はほとんど意識がないけど、あのまま意識が戻らないという、それだけのことだ。悲しさも後悔もなにひとつ残らない、消滅するだけだ。多くの人はおそらく、なぜか死んだあとに感情が残るという前提で死について話している気がするのだが、自分の中でその可能性は消えた。死んだら消滅だ。ただそれだけ。ちなみに幽霊ってのは生前の記憶を繰り返しているだけらしい。おったまげ。


生きているのは生きているからだ、としか言えない。生きていても死んでも別にどちらでもいいのだが、死ぬ理由がないし、死ぬのってすごく大変だから、わざわざやる理由がない。吐くほど嫌いな食べ物をあえて食べるやつがどこにいるんだ、ってのと同じ話。
ただ、このまま何も変わらないままだと、いつ人生を諦めてリタイアしてしまってもおかしくないな、と、長期的な目線では思っている。思っているけど、なんとなくずるずると緩慢に、生き続けてしまうんだろうなとは思う。たぶん人の寿命が20~30年くらいしかなかったら、自殺者の数ってとんでもないことになるんじゃなかろうか。平均寿命80歳くらいなのは社会的動物であるがゆえの、ある種の防衛本能なのかもしれない。

 

こんなことを日々考えて暮らしている。5兆円ほしいな。あったらもう少しいろいろできる気がする。

85 家と配信と砂浜カメ(いじめちゃダメ)

この状況下で有観客ライブを先んじて再開して続けているグループもいれば、配信ライブを積極的にやっているグループもいる。足踏み状態のところもある。どこも砂漠の中で1匹のノミ(それも砂の色や動物、他の虫の体色に擬態し、活発に動き回り、地中に潜る)を探すような状況だとは思う。
Twitterで、久々の有観客ライブに集まっているオタクを見ると取り残された気分になるし、ハッシュタグで実況され続ける配信ライブも観なかったら観なかったでそうなるのだろう。一応ホームスピーカーあるから大音量で配信ライブ観れるけど、ライブハウスのそれとは体験の質が違いすぎて、払った分の対価を得ているとは(平時と比較して)とてもじゃないけど思えない。

もちろん推しを支えたいという気持ちもあるし、配信ライブも自分なりに楽しんでいるけど、「浦島太郎にならないために金使ってる」感が100のうち51以上あることはどうにも否めない自分がいる。
でも昔から「周りと話を合わせるための努力」に潜んだ虚しさがどうにも気持ち良くなくて好きじゃないし、こんな現状は正直やってられないのだ。
一体いつまであきらめを前提にした経済活動をしなきゃいけないんだろう。無理にしなくてもいいのだけど。SNS依存的なところもあるし。

自粛期間(定義が謎)に入ってから、映画、演劇、ライブに1回ずつだけ行った。
映画と演劇には何も問題を感じなかった。大笑いをするような喜劇でもないし、観客が集中して観るタイプのものだったからかもしれない。
ライブがちょっと問題だった。どこかで言ったかもしれないが、最初こそ「コール&レスポンスをするので応えないで下さい!」とクレバーな煽り方をする演者がいて感心したものの、次のちょいとやんちゃな演者が「共犯者になりましょうよ」なんて言って声出しを煽ったところ、乗ってしまった観客が数名いた。その次の演者ではコールまで密かに起こる始末。自分の前にいた白髪の老爺はコールこそしなかったものの、MCでは大声で笑っていた。
「感染防止の対策を一生懸命しなきゃいけないのに!!!!ばかっ!!!!!」というよりは、全然問題ないと思ってる人も警戒してる人もいる、不安だけど応援したいからとか、どうしても生で観たいからとか、対策万全なら安心なんじゃないかとか、色んな考え持った人がいる中で、自分以外に対する想像力が欠けすぎじゃないのか、と思ったのだ。
ライブハウス側は充分すぎるくらい徹底的に感染対策を施していた。注意事項の周知も行っていた。まぁ諸注意を話半分に聞いてる奴なんてどんな集団の中にも半分近くはいるのだが。
要は集団みんなで99%安心できなきゃ何事もやってらんないと思っている。ちなみに1%は想定外の事故。風邪が移る程度の話ならともかく、コロナに関しては怖い話も多い。自分は専門家じゃないので、データを精査したところで過去の感染症の事例を詳しく知らないし、未来を予測しうるだけの医学・生物学・感染症学その他もろもろの学問の知識がない。故に結論を出せない、が結論だ。
先日の山手線で実施されたクラスターフェスにしたってそう。主義主張ごときで人は安心しない。あの人たちはどれだけ専門的な知識を有しているのだろうか。たまたま手元に流れてきた情報をどこまで自身で精査している?独善的すぎて吐き気がした。


最近はダイエットをずっとしている。キツめのトレーニングをしていると自然と糖質いらないやみたいな気分になってくるので、今までとは真逆で意図的に糖質を摂るようにしている。
体は引き締まってきたけど、脳筋化しているというか、文章力とか語彙力とか、それ以上にそれを創出する体力なんかが落ちてきているように感じる。
少し前に書き始めた小説は、まだ載せていない部分で世界観が肥大化しすぎてしまってなかなか続きを書けていない。

やることがあるのは良いことなのかだるいことなのか。
在宅研修の資料が家に届いたけど、勝手にやってレポート送れみたいな感じでやる気が蜃気楼のオアシスだし、やりたいことの期日にも追われているけど頭がなかなか動いてくれない。
減収は給付金で賄えないレベルで、緊急小口資金の貸付も返済を考えると及び腰になる。

前澤社長が1億円くれたら心配の種はあらかた消し飛ぶのだろうが、近所のコンビニまで買い物に行く道中、いきなり空から落ちてくるマシュマロをキャッチできるくらいの確率なのだろうなぁ。ファンタジーじゃん。

84 最近の詩作

ひまわり|ぶるーれい @rayblues_ #note https://note.com/blu_01d/n/n0fbc0355b553

 

今年の目標として「作品群」を作ろうとしています。

詩作というのはここ15年くらいのライフワークなんだけど、楽器とかDTMとか壊滅的にできないため音楽にしたりはできない。ので、歌詞風の、しかしただの詩でしかない。ゆえの後ろめたさみたいなものがある。ただそんなのは文芸においてはきっとなんの関係もないつまらない憂事なのだろうな…

そんな中で、文章を褒めて下さる作家の方から「作品を作ったほうがいい」と言われたことがあって、実際自分でも思うところには何かしら作っておきたいというのがあったし、なので自分なりにアイデアを膨らませてその製作をここ何ヶ月か続けている。

今までは何か書けたらすぐnoteに載せていたけど、今はずっと表に出さずに書き溜めているものものがあって、たまに「これは!」ってなったらnoteに出してる感じです。アルバム制作中にその中から先行シングルをカットするような。あるいはその作品群に入らないデッドストック的なものも出してる。

 

ここ最近は「こういうのが書いてみたかった!」って構成だとか質感のものに積極的に挑んでいて、そしてしっかり書けている感覚があって、本当にちょっとずつできなかったことができていってる気がします。

冒頭に載せたのはその一番新しいやつで、これはなんていうか、上手く説明できないんだけど「これを書けてよかった…!」と思っているやつです。心に意志を彫れたぞ、みたいな。たぶん自分が音楽家でソロアルバムとか作ってたら一番最後に収録するしリード曲にする。

 

誰かにウケようと思って書いたものはないし、「自分がよくできた!」と思ったものだけ世に晒していきます。

「何か形にする」ということが何より大切だと思うのです。

それでも読んだ人の中に何かが生まれたとしたら、それは幸せなことなのかもしれません。勝手にやってることなので。それでも人の心に動きを生んだとしたら、それはとんでもないことなので。

83 tipToe. LIVE TOUR ''SCHOOL TRIP 2019'' at 札幌cube garden クイックレポート

11月23日、tipToe.現体制最後となる全国ツアーの札幌公演が行われた。

ツアーも折り返しとなり、暦も間もなく最後の月に差し掛かろうとしている。

昨日までの首都圏の寒さとは打って変わって、北海道とはいえ寒いなりにも過ごしやすい気候となった本日、札幌の街の一角を熱くしたエモーショナルなライブの一部始終を書き留めた。

 

客電が落ちると、しっとりと響いてきたのはピアノの音色。「僕たちは息をする」のAメロのピアノフレーズのみが静かに繰り返され、徐々にバンドサウンドが加わり、さながら「Before The Curtain Rises」の「僕たちは息をする」バージョンのオープニングSEでメンバーが登場。
最北の地で1曲目から惜しみない熱量をぶつけると、2曲目には初期の隠れた人気曲「ビギナー」が続く。
後にして思えば「僕たちは息をする」はオープニング&メインテーマ、「ビギナー」はシーン1だろう。今回のセットリストは昼から夕、夜に向かっていくtipToe.王道ストーリー系セトリの新作だ。

曲終わりのフォーメーションを崩さないままに入った成瀬ゆゆかによるカウントに歓声が上がり、一転可愛さが染み渡る「ないしょとーく」へ。さらに「秘密」のメロディーラインをなぞるインタールードのピアノソロを添えてビッグバンド風の「秘密」を披露。序盤からフロアを大いに沸き立たせた。

 

この日最初のMCでは自己紹介に続き、普段MCをすることが少ない成瀬・三原・都塚の3人が「なんか喋ってて!」と他メンバーの水分補給のためにトークをすることに。
三原海は序盤の曲で靴が片方脱げてしまい、ステップが肝心な「秘密」のためにもう片方も脱いでパフォーマンスしていたことを告白。とっさの判断で窮地を乗り切ったことを明かした。

 

おもむろに舞台袖から白or黒の円筒形の椅子を持ち出すメンバーたち。
一同椅子に腰かけて落ち着いた雰囲気ではじまったのは、エクストラシングルとしてリリースされた「slow'n'Drip」収録バージョンの「クリームソーダのゆううつ」「かすみ草の花束」の2曲だ。
いずれもアンプラグド・バンドアレンジで、歌割りも普段とは異なる。特別な機会にしか披露されることのない2曲に心地好く聴き入った。

 

続く「アフターグロウ」の冒頭では、歌い出しから感極まってしまった日野あみが声を詰まらせてしまう場面も。そこをシームレスに歌い繋いだのは他でもない椋本真叶で、ピノムックコンビとして親しまれる二人の絆を強く感じさせる。最後のパートでも花咲なつみが日野にいつも以上に寄り添い、楽曲の世界観と相俟って今のtipToe.がこの6人であることの尊さに胸が熱くなった。

 

「アフターグロウ」とは逆順で披露されることが多い名曲「茜」の切なさ溢れる情感で夕方の世界が締め括られると、渋谷クアトロワンマンでも使用された秒針の音が印象的なSEが流れる。都塚寧々によるリーディング楽曲「砂糖の夜に」は「ナイトウォーク」へと続き、優しい夜の世界にフロアが包まれた。


「信号が青に変わるよ」と暖かな闇が訪れたフロアは、うねり狂うようなオリエンタルなピアノリフが印象的な次曲「僕らの青」によって一変。サビでは三原海のパワフルなハイトーンが曲をリードし、楽曲に渦巻く激情が洪水のように叩きつけられた。tipToe.のセンチメンタルサイドの極北とも言える衝撃的な楽曲で、1曲で瞬く間に空間を支配した。

「アフターグロウ」に続く「茜」、「ナイトウォーク」に続く「僕らの青」など、決して綺麗には終わってくれないストーリーの展開は、さながら青春の過渡期に滲むブルースを生々しく描き出しているかのようだ。

 

夕暮れから陽が沈み、夜の世界を巡ったところでこの日2度目のMCが入る。

メンバーはライブ前に到着したばかりで、まだ観光ができていないそう。そんな中でも既に日野あみは近場で味噌ラーメンを食べたといい、聖地巡礼をファンに勧めた。
観光は明日の楽しみにしているそうで、日野・三原は朝からご当地のラーメンを食べに行く予定とのこと。Twitterでのお土産話にも期待できそうだ。

 

1st full album「magic hour」において、ロック&センチメンタルの二大巨頭を「僕たちは息をする」と共に担う人気曲「ハートビート」から終盤戦がスタート。これまでの夜に至る物語を背負って力強いパフォーマンスが繰り広げられた。
畳み掛ける「Cider Aquarium」で踊らせると、インタールードなしでノンストップで続く「星降る夜、君とダンスを」でオーディエンスの熱量をピークに導く。最後まで間髪入れずに音を鳴らし続けた「特別じゃない私たちの物語」で有終の美を飾った。

 

専用の特別なSEと共にオープニングに選曲された「僕たちは息をする」は、時間を示すフレーズが繰り返し登場する楽曲だ。
「手元の明かりと午前3時」という歌い出し、物語は深夜とも明け方ともつかない時間から描かれる。
夕闇が近づいても変わらず惰性が続く時間、日々。
「時間だけ進んでく いつか追いつければいいのにな」と唄う主人公に不意に起こった物語が、次曲以降のすべてなのではないだろうか。

綺麗な涙を零す心の呼吸と、美談になどしたくもない憂鬱を繰り返し辿り着いた結末は、惰性の回旋に連なる深夜でもましてや明け方でもない、言うなれば新しい夜明けの鮮烈な決意の言葉だった。

 

「踏み出そう 新しい世界」

 

tipToe. LIVE TOUR
''SCHOOL TRIP 2019''
2019.11.23 at 札幌cube garden

SET LIST

1.SE(僕たちは息をする)
2.僕たちは息をする
3.ビギナー
4.ないしょとーく
5.Interlude(秘密)
6.秘密
7.クリームソーダのゆううつ -unplugged-
8.かすみ草の花束を -unplugged-
9.アフターグロウ
10.茜
11.Interlude(砂糖の夜に)
12.砂糖の夜に
13.ナイトウォーク
14.僕らの青
15.ハートビート
16.Cider Aquarium
17.星降る夜、君とダンスを
18.特別じゃない私たちの物語

En.夢日和

 

82 今日の奇跡に愛を抱いたらセツナシンドローム - tipToe.×nuance「dubrise」レポート

tipToe.とnuanceによる最初で最後のツーマンライブ、「dubrise」が昨日11/6に渋谷Gladにて行われました。
nuanceは以前にも「triprise」というスリーマンを行っており、これは各演者が1曲ずつ入れ替わってパフォーマンスを行い、さながら3組でワンマンを行うような特別な企画ライブでした。
今回はtipToe.とのツーマンで、さらに両グループのプロデューサーがそれぞれプロデュースした「honma step/fujisaki step」の二部制で実施。
各プロデューサーの個性が爆発する惜しみない演出の数々と共にtipToe.とnuanceのメンバーが交互に楽曲を披露し、時にはコラボレーションも行い、後にも先にも観ることができないツーマンライブの極北的名演となりました。

覚え書きにはなりますが、各パート・曲ごとのレポートをお届けします。
行けた方はそれぞれが感じた瞬間を思い返すその一助になれば、行けなかった方はそれとなく雰囲気を感じ取ってもらえればと思います。


honma step

1.SE
時計の針が進む音、そして波の音と雑踏。ヌュとのツーマンということで海沿いの街を思わせる。舞台はきっと横浜。桟橋から臨む薄曇りの空。

2.ナイトウォーク / tipToe.
SEが流れるなか登場したメンバーは久々の夜編衣装で、早々にフロアから歓喜の声が沸き起こる。書いてる人は夜編衣装にとても思い入れがあり大好きなのでめちゃくちゃ嬉しかった。
しっとりとした曲からスタートという珍しいパターン。最後につみちゃんが後ろを向かず、前を向いたまま曲が終了。つみちゃんが後ろを向かずに終わるナイトウォーク、というだけでもはや今日のライブが普通じゃないことがよくわかる。

3.SE
再び波音と雑踏。つみちゃん以外のメンバーが先に退場し、最後につみちゃんが退場する。

4.白昼ブランコ / nuance
SEが流れたままイントロが流れだし、ヌュのメンバーが登場。両グループの落ち着いた曲を並べる形になった。

5.SE
白昼ブランコのアウトロが途中でブツブツ途切れるなどノイジーなテイストになり、次第に音色が変わっていきソーダフロート気分へ繋がるアレンジ。

6.ソーダフロート気分 / tipToe.
白昼ブランコから徐々に踊らせていくモードへ。次がセツナシンドロームで、時間をかけてゆっくり熱を上げていくストーリー感のあるサウンド展開。
ちなみに書いてる人は元々………のオタクで、初めてヌュを観たのが………とtipが出たフェヌュVol.1だったのでとってもエモい気持ちになった。

7.SE
8.セツナシンドローム / nuance
短めのSEからセツナシンドロームへ。
「今日の奇跡に愛を抱いたらセツナシンドローム」という歌詞が、最後のツーマンであったこの日のために歌われているような気がして、骨の髄まで沁み渡るほどこの歌詞を噛み締めていた。

9.Cider Aquarium / tipToe.
10.sanzan / nuance
セツナシンドロームからノンストップでCider Aquariumへ。アウトロで輪になって踊る振付の中央にヌュのメンバーが入り、さながら神秘的な儀式のようなフォーメーションから誰もが期待したsanzanへのノンストップ繋ぎ。スタンバイの時点で歓声が巻き起こるレベル。
ピノムックワンマンでまなかちゃん発案により大好評を博したメドレーの再現に歓喜の雄叫びがフロア中に轟き、sanzanではピノムックワンマン当時を思わせる壮絶に熱烈なコールが飛び交う。

11.秘密 / tipToe.
繋ぎはなく、ステージ上のメンバーが入れ替わってからスタート。アウトロでヌュメンバーが入場。
12.タイムマジックロンリー / nuance
ノンストップ。繋ぎでやる時に毎度毎度前曲からあまりにも自然な流れで振付に突入する冒頭の振付にはtipメンバーも参加し、この日最初のプチコラボレーション。その後tipメンバーは退場

13.Interlude / カニカマピノムック
退場するヌュメンバーの中からわかちゃんとみおちゃんだけが残り、そこにまなかちゃんとあみちゃんが登場。一聴して次の曲がわかるムーグメインのSEをカニカマピノムック*1でパフォーマンス。この部分の振り付けはまなかちゃんが担当!そしてtipメンバーも登場してやはり…

14.星降る夜、君とダンスを / tipToe.
文句なしの大団円。tipメンバーが退場し、繋ぎの
SEなどもなく、これで終わり……と見せかけて、再度ヌュのメンバーが登場。

15.wish / nuance
本当に最後の最後に来たのがこの曲。最高潮に達したフロア、シンプルな暖色系一本、オレンジ色の灯りが照らすステージ。
最後に歌われたこの曲に込められた願いをひしひしと感じ、胸が熱くなる。
究極的にエモい。書いてる人はこれで泣きました。

曲の終わりと共に再び時計の音が聴こえ、終了。
客席の明点と共に本間さんへ向けた大きな拍手が沸き起こりました。

 

fujisaki step

1.town / nuance
このトラックがSEとして流れる中でtipメンバーが椅子を持って登場。実際は2曲目以降のためにセッティングしただけだったものの、もはや何が起こってもおかしくないライブになっているだけに大歓声。
リーディングトラックである本曲の最後の「town」だけがカットされて代わりに……

2.ないしょとーく / tipToe.
ゆゆちゃんのカウントが入りスタート。ヌュの登場SEでtipのターンからはじめるスペシャル感。
ラジオ体操的な振付で寧々ちゃんが「パッパッパ」と口ずさんでいたのが可愛かった。

3.Love chocolate? / nuance
ノンストップでラブチョコへ。本間さんパートになかった可愛い系の路線で冒頭を固める。

4.The Curtain Rises / tipToe.
5.i=envY / nuance
一転してカッコよくアゲていく選曲へ。ノンストップで繋がれたこの2曲に赤い照明がよく映える。
i=envYのアウトロではtipメンバーも入場し、コラボパフォーマンスを披露。最後の音に合わせて見覚えのあるフォーメーションになり、驚声が上がる。

6.茜 / tipToe.
さらにノンストップで突入した茜は、歌い出しで紫と黄の照明が激しく明滅し、ともすればサイケデリック。このライティングが鍵で、前2曲でフロアに産まれた熱量をこの曲の激情になだれこませるという神業。

いつも以上に激しく感情が渦巻く茜に、書いてる人は思わず初めてのフリコピをした。
曲の終わりでヌュメンバーが入場し、ステージ後方に捌けてある椅子の上にそのまま立つ。

7.cosmo / nuance
これまたノンストップでcosmoへ。ステージ後方に椅子立ちのヌュメンバーと、ステージのツラに並ぶtipメンバーで三度のコラボパフォーマンス。
「君の存在そのものがcosmo!」までやってtipメンバーは退場。椅子が前に出てくる。
最後のパートでみおちゃんのテンションの振り切れが歌声に乗り、misakiさんもそこに引っ張られてハイになってたのが印象的。

8.blue moon. / tipToe.
完全に音が止まりヌュのメンバーが退場すると、ステージに現れたのは三原海ただ一人。
冒頭のソロパフォーマンスは最序盤こそ茜の冒頭のようなライティングだったが、次第に白と青の交差する2本の照明だけのシンプルなものへ。さながら真っ暗な部屋の窓から差し込む蒼い月光のような灯りに照らされた海ちゃんの顔が印象的。
ソロパート終わりに他メンバーも入場。そして早々にフロアがざわついたのが、まさかの生歌での披露だったこと。
ボーカルに多様なエフェクトをかけている都合もあり、tipToe.では通常この曲のみアテフリで、歌う素振りこそあれどダンスパフォーマンスに専念する曲だったために驚嘆の視線が一斉にステージに注がれる。
確実にマイクを通したものだとわかる声、生声だからこそ生まれる声の''ゆらぎ''、聴こえ方が異なるコーラスワーク。
実は音源準備の際の手違いで発生した事故だったらしいが、とはいえ結果として素晴らしいパフォーマンスを観ることができた。生歌ゆえに響き、伝わってくる情緒が確実にある。
これまで歌ってこなかったからこその荒削り感はあれど、生声で歌われることの良さが確実に出ており、願わくば今後このまま生歌にしてラストライブに向けて仕上げていってほしいところ。
書いてる人は初現場がblue moon.初披露のライブ*2でblue moon.に衝撃を受けてライブに通いだしたため、嬉しさと興奮で心臓が口から飛び出してどこかに行ってしまいました。

9.雨粒 / nuance
blue moon.から間髪入れずに昨日披露した新曲を再び。イントロからサビ前まではヌュらしい感じであるものの、サビで轟音ギターと共にエモ&ラウドな感じに展開するパワーのある楽曲。イントロ~サビ前が独特なリズムなのもあり、サビからギターが激しく入ってくるなどサウンドの展開的にはゆるめるモ!のさよならばかちゃんに似ていて、体感的にはヌュ版ばかちゃんという感じがする。ヌュアンス・パワースタイル、な名曲。

10.夢日和 / tipToe.
blue moon.からは最後までノンストップなのだが、まさかすぎるタイミングで登板したのが夢日和。
tip本体のライブでは一番最後かごく稀に一番最初になることがほとんどで、盛り上がりどころの中盤にその一部として持ってくるというのは本間さんが絶対にやらなさそうな構成。茜の前後もだが、普段のライブでは決して観れないtip曲の表情を引き出す演出が多かった。

11.ヒューマナイズド・ヒューマノイド / nuance
12.僕たちは息をする / tipToe.
夢日和からのヒューマナイズド・ヒューマノイドでガンガン上げていく。
ノンストップで繋いだ僕たちは息をするではイントロの冒頭の円を描くように移動していく振付にヌュメンバーが参加しながら移動のタイミングで徐々に捌けていくという、振付を巧みに利用した退場手法でプチコラボ。

13.ミライサーカス / nuance × tipToe.
最後の最後でフルサイズコラボレーションが実現!
tipメンバー全員が椅子を持って登場。tipメンバーについては基本は座ったまま体を揺らし、歌う時は椅子の上に立つというスタイル。
「私はミライサーカスの○○です~」の8小節×2人分を1A2Aそれぞれで行うAメロのパートをtipメンバー分伸ばし、1A2Aで3人ずつに振り分けるという形式。
具体的には1Aがmisaki→つみ→ねね→うみ→じゅり、2Aがわか→まなか→あみ→ゆゆ→みお。ヌュメンバーの本来のパートでtipメンバーを挟む形で、tipメンバーについては出席番号順。
さらに○○には割り当てられているtipアニマルが入る。(つみちゃんなら「私はミライサーカスのひよこです」など)
tipメンバーはMCに代えて歌に合わせて1人ずつコメントをするような感じ。海ちゃんが「にゃ~お!」と猫いコール&レスポンスでフロアを沸かせていたり(煽りキャラがよく似合っていた)、あみちゃんが「ミライサーカスが大好きなので私が座長になってもいいですか??」と期待を裏切らないマイクパフォーマンスを魅せつけるなど個々人の色が出ていた。
tipアニマルを組み込むアイデアは天才的だし、そういえば曲中に出てこなかった座長というポジションに狙いを定めるあみちゃんもまた天才的という、凄まじい光景。
全員で一緒に最後まで歌い踊り、最高のコラボレーションライブは幕を閉じる。そして記念撮影。


En.謝罪
鳴り止まないアンコールに応えて再び登場した10人。
「せーの!」
「「「「「ごめんなさい!!!!!」」」」」
やれる曲がないのでアンコールはなし。
裏で両Pが「もうやることねえよ!」と言っていたとかなんとか。笑


本間さんパートはtipとヌュの曲を繋ぐためだけの専用SEをいくつも準備し、この日のためだけにあらゆる武器を取り揃えて臨んだ真っ向勝負の総力戦。王道スタイルの最高峰。
藤崎さんパートは、ある1曲をやることでフロアがどうなるかを完全に把握した上で、そこで生まれた熱を次の曲に持ち込ませ今までになかった質感の熱量を生み出す、というスタイルを感覚レベルでやっているような天才的な演出。

どちらも互いのグループへの深く厚い愛情がないと実現し得ない演出・パフォーマンスの数々。
フロアもまたほぼ全員がtipToe.とnuanceのどちらも大好きなのがよくわかる熱くも暖かい空気感で、両グループにファンクラブがあって、合同でFC限定ライブやったらこういう雰囲気になるんじゃないかな?という情熱的ハートフルな空間でした。

あまりにも素晴らしいライブで、幸せが溢れすぎて会場出たらその場で心臓麻痺起こして死ぬんじゃないかと思いました。幸せすぎて死にそうとはこのことか!満たされすぎて余韻が明けた翌日になっても残っています。
Gladにいる間はもういまこの場で死んでも何も文句は言えないしこれが人生最後に観たライブならなんの悔いもない!と思いましたが、出たら出たでどっこい生きてました。そしてまだ死んでられねえ!となる情報が。

 

ライブの直後、特典会の準備を待つあいだにtipToe.の公式Twitterアカウントより、12/4に現体制最後のリリースとなる3rdフルアルバム「timetrip」の発売決定告知、そして現体制ラストライブとなる1/11の公演がZepp DiverCityで行われることが発表されました。
アルバムには7月の渋谷クアトロワンマン以降に披露された新曲5曲に未披露の新曲2曲を加えた7曲を収録。リリースイベントにも期待です。

Zepp DiverCityはキャパ約2,500、ぶっちぎりでグループ史上最大規模のワンマンライブ。これまでの最高が渋谷クアトロの800キャパなので、ゆうに3倍以上。しかし遜色ない、現体制の締め括りに相応しい会場だと思います。
ちなみにこの会場、海ちゃんが昔ドリンクスタッフとしてバイトしている時に当時のTIFでマナーの悪いオタクに注意したところ「このブス!」と言われ、その後TIFのステージに立つ側になったという話が今年のTIFの際にバズっていましたが、ついにこの会場でワンマンライブをするアイドルにまでなりました。エモくて泣きそうです。すごいよ。

nuanceとのツーマンも対バンもこれが最後にはなってしまいましたが、12/15にはどちらのグループもツアーで大阪にてワンマンライブを行うことが決まっています。ヌュが昼、tipが夜なので回せます。もう一度言います。回せます。実質ツーマン。これは行くしかない。

tipToe.のファンとしては残された時間を埋めるものが今回の発表で鮮明になったようで、センチメンタルが爆裂しつつも最後まで全力で突っ走ろうと決意を新たにした所存です。最後まで楽しむぞー!

 

SET LIST

- honma step -

1.SE
2.ナイトウォーク / tipToe.
3.SE
4.白昼ブランコ / nuance
5.SE
6.ソーダフロート気分 / tipToe.
7.SE
8.セツナシンドローム / nuance
9.Cider Aquarium / tipToe.
10.sanzan / nuance
11.秘密 / tipToe.
12.タイムマジックロンリー / nuance
13.Interlude / カニカマピノムック
14.星降る夜、君とダンスを / tipToe.
15.wish / nuance


-fujisaki step-

1.town / nuance
2.ないしょとーく / tipToe.
3.Love chocolate? / nuance
4.The Curtain Rises / tipToe.
5.i=envY / nuance
6.茜 / tipToe.
7.cosmo / nuance
8.blue moon. / tipToe.
9.雨粒 / nuance
10.夢日和 / tipToe.
11.ヒューマナイズド・ヒューマノイド / nuance
12.僕たちは息をする / tipToe.
13.ミライサーカス / nuance × tipToe.

*1:椋本真叶、日野あみ、わか、みお、からなるユニット。7月のピノムック2周年記念ワンマンではカニカマピノムックとして互いのグループの曲を披露した。

*2:1st CONSEPT ONEMAN 「blue moon rising」。夜編衣装もこの日に初披露。