99 ひとりごと(tipToe.)について語る時が来たかもしれない

この曲に関しては1期の頃から語れるなぁと思ってはいたのですが、ついにタイミングが来たのかもしれない。(モチベともいう)

あんまり言ったことないかもですが、かなり好きな曲なんですよね。

 

tipToe.楽曲の中でもっとも寿命が長い曲なのではないかと勝手に思っています。
約3分半と短くシンプルにまとまっており、音数手数が多い割に重くならず綺麗にまとまる瀬名航曲群の中にあって、とりわけ個々の楽器が控えめに最低限の仕事に徹しているという印象です。

いずれの音も無駄な主張をせずに職人堅気な演奏に努めることで生まれる完成度があり、ナイトウォークとはまた別ベクトルの「引き算の美学」をもって成立していると感じます。たとえばギターロックでやっていき!でお馴染みのSOVA合同会社とは思えない手数のギターアレンジですよ。そこが逆に痺れるっていうやつですね。

 

決して主役になるほどの大きなパワーを持っている曲ではない。そういう曲はあからさまにそういう顔をしてセットリストに入っています。みなさんもご存知のあれ日和とかあれ降る夜、君とダンスをとかあれピースとかあれ草の咲く頃にとか。ひとりごとってそういう枠じゃない。
しかし枠じゃないからこそ、時期とか世代とかの象徴にならず、旬も無ければ廃れもしない。それでいてtipToe.らしさそのもののようでもある。
例えるならなんだろう、牛乳石鹸とか。あとなんだ、人生ゲームとか、葛根湯とか、リポビタンDとか。派手にコマーシャルされはしないけど、昔からずっとあるよねっていうものたちと似た立ち位置を獲得しうる(なんならしている)曲。

 

2期は2期のメンバーのために書かれた曲をやってくれるほうが嬉しいんです、個人的には。1期曲の解禁とか懐かしの定番繋ぎとかあんまり興味なくて。今という時代は今を作っている人たちのものなので。卒業した先輩たちは事実としているけど、今tipToe.ってあなたたちなんだよって最初から思ってる。

もちろん「tipToe.の曲」という大前提の括りの中での話なのは承知の上で、だからやるならせめてオケを新調してほしいとは2期はじまった当初から思っていて。演者が変われば世代も変わる時代も変わる、ほんのわずかでも吹いている風は違うものになるわけで。
あともっと言えば古い曲たちの制作当時より制作陣のレベルが上がってるのでそのままやると青臭さがむずがゆかったりして。
振付が多少なり変わってるのはそういう意味では良いなと思います。中盤夢日和とか平気でやるようになったのも変化か。(1期2年生編以降ではdubriseのfujisaki stepくらい、つまりtipサイドでは頑なに切らなかったカード)

 

だいぶ話が逸れましたが、でもそんなことを思っている中でも「ひとりごと」だけは素直に2期でも観たいなって思ってた曲なんです。べつにそのままでいいので。唯一そう思った曲。(ちなみにblue moon.はそもそもやると思ってなかったので、そういう思考の枠外にありました)

 

blue moon rising(1期)でblue moon.に衝撃を受けたのがtipToe.に通うきっかけだったって話はニッポン放送ラジオリビングの年末の数の子松前漬けの宣伝くらい話してきたと思うんですね。
でも同時に「またライブ行ったらあれ聴けるかな?観れるかな?」って一際楽しみにしてたのは実はひとりごとだったんです。

 

blue moon.は良すぎてそう沢山観るのも聴くのもちょっと怖かったんですよね正直。通い始めの当時は、やったら凄まじい体験をした…!と毎回感じてたし、やらなかったら少しほっとしてる自分がいました。なんというか、ものの1回で絶対的な存在になった曲なんです。

一方のひとりごとは、曲も振付もそれをやってるメンバーもとても可愛いらしいんですよね。夜編開幕という時期もあってシリアスめな表情でやる曲も増えていったんですが、そんな中でもこれがあると癒されるというか。
BPMとかビートの感じもちょうどよくライブ向けですし、うれしい楽しい大好き(吉田美和の歌声で)そして可愛いっていう。


それでいてやっぱり主役級ではないので対バン登場率はそんなに高くなくて、でも1度観たらまた観たくなるようなひとつ抜けた可愛さがこの曲にはあったので、言うたらわりと片想いしてた曲なんですこれは。

同じクラスだけどとっかかりが無さすぎて話しかけられない、でもけどちょっと気になってるあの子とたまたま行事のチーム分けで一緒になったみたいなあの感覚って言ってわかります?わかりますよね。みなさん人類ですものね。わかりますよ。

 

weや茜やカーテンや風速やユナイトやシャッターチャンスみたいな語るべき名曲たちの影には隠れがちで、それでもいつでも確かな役割を持ってしっかり仕事をしている。やるべきことをやっている。そんなところがカッコよかったりする。ちょっと曲に人格を与えすぎてるな。まぁいいか。

 

とはいえ影に隠れているばかりでもなく、1期のクアトロワンマン「Colorful」ではイントロをリアレンジした新ver.が公開されました。以降セトリ入りもわりと増え、Colorfulと1期ラストライブでは前曲からの繋ぎ部分を同じアングルで映像化されてた記憶があるんですよね。あのつみちゃんのピース、同じだ!って思って。

 

ちなみにこの年の春にあれがリリースされます。そうです、瀬名航2ndフルアルバム「せなのおと2」
初音ミク歌唱によるセルフカバー、「ひとりごと -Rearrange ver-」が収録されました。

tipの主催イベントの開場中のSEといえば瀬名航のインスト、というのは通っている皆様におかれましてはもはや実家と感じられるくらい染み込んでいるのではないでしょうか。このアルバムに関しても「あっかんべーだ」とか「浮遊」のインスト、よく流れてますよね。

で、かつてはひとりごとのインストも混じって流れていました。tip曲のインストとして考えるとこの1曲だけで、事情を知らない人には小さな謎であったと思われます。
これがアルバムリリースのタイミングでしれっとRearrange ver.のオケに差し替わったんです。
2期から観ていて、そういや開演前なんかやけに賑やかなアレンジのひとりごとインスト流れてるな、と思われていた方。それです。そんなわけで耳馴染みは地味にあると思われます。

 

Rearrange ver(以降ひとりごとR)の一番の特徴はサビに過剰装飾とも言えるようなキラッキラのシンセサウンドが加わったことでしょうか。ザ・瀬名航っていう音色のあれです。ボカロPなのに音色で作家が紐付く方ってあまりいないのでは…(詳しくないので知りませんが)
歌うのが人間ではないのでアレンジのほうは意外といくら攻めても良いみたいなあれがあるのかもしれません。
あとはところどころめっちゃ静かになったりして緩急がつきました。ベースのアレンジはそのままに、程よくイメチェンしたような感じになっています。ワンピースでいうとこの超新星編と新世界編くらいの変わり具合です。

 

このバージョン、2期になってから使うと思ってたんですよね。楽しみにしてたんですが、フタを開けたら意外にも(夢日和なども含め)1期とまんま同じアレンジでやってて逆にびっくりしました。

つまるところ、tipでひとりごとRを観るのが(大々的に言うほどではないまでも)ちょっとした夢だったんですよ。


でもまぁそういう感じだとやらないだろうと思ったんですよね。イメージとか方針にブレがない本間さんのことですし、よほど特別な時ですらやらないだろうなと思ってました。そんなことあったらいいよねくらいで。

 

しかしついにその日はやって来ました。

 

りんちゃんのわがままパーティーです。

 

そもそもトークイベントだと思ってました。なんならフード頼んでごはん食べながら観ようかくらいに思ってまして、夕飯食べずにセブンの揚げ鶏とさけるチーズで小腹満たす程度にしていたんですけど()、開演するなりまず1曲目のウェルカムソングとしてこれが来たわけです。

SEがひとりごとRか~いいね~と思ってたら、そのままひとりごとRをパフォーマンスしてくれたんです!やば!踊ってみたライブが中心でしたが、これについてはもちろん初音ミクではなくちゃんと生歌です。
終わってみて冷静になって考えると専用SEまで作られていたっぽいのですよ。なんてことだ…

 

今回はtipとしてではなく3人でのパフォーマンスでしたが、それでもこれをライブで観られるとは思ってなかったので、なんとも嬉しいサプライズでございました…
りんちゃんこれ好きでやりたかったと……ありがとう……ありがとう……

 

アレンジの違いによりライブでのアティチュードもわずかばかり変わってくるものがありますよね。似たようで新しく少し違った形で楽しめて最高でした。もちろんそのあとのイベントも!

1度あることは2度ある、2度あることは何度もある、ですからね。前例を切り拓いたりんちゃんは偉大だ…
ていうかもうSE用意しちゃったんだから、やらなきゃもったいないでしょう。そうでしょう?ねえ。

 

というわけで、tipToe.本隊でひとりごとRを観れるのも楽しみにしております😊