92 シンダーエラの「君のいない世界」はいいぞという話をしようとしたのにいつの間にか滝の話をしているブログ

メタルというものを通ってきていないわけです。
ヘヴィメタルというものは少し通っているのですが、それはどちらかといえばハードロックに近いもので(CDショップのHR/HMなんて括りですしね)、ジャパメタなんかもヘヴィメタルですよね。

俗に言うメタル好きの人が聴いていらっしゃるのっていわゆるデスメタルだったりスラッシュメタルだったりシンフォニックメタルだったりするわけで、聴く機会というのはあんまりありませんでした。
端的に言うと、ブルーズをルーツに持ったロックを幼い頃から聴いていたもので、その要素を含まずかつ白人音楽的な要素で固めたほうのメタルはまぁなんというか隣の県みたいな感じだったんですね。

シンダーエラの持ち曲たちに愛着が沸いているというのは個人的には結構意外なことで、慣れもあるでしょうしライブアイドルあるあるであらゆるジャンルをある程度ポップ化できるという特徴ゆえのものもあるでしょうし、それ以上にメンバーのパフォーマンスが曲を掌握できるほどに向上したからというのがあるのかなと思います。

初めて観たのは2月ですが、その時は曲(と作り手)が歌い手を置き去りにしているような印象を受けたのですが、その次に観た8月にはあれ?っていうくらい歌もステージングも良くなってて、あっという間にグイグイと惹かれてしまい、念願の推しメンとの初チェキも撮り……という馴れ初め?がありました。

ここ最近ライブに通いはじめたんですけど、良いんですよねえ……振付も一筋縄ではいかない凝りっぷりで、真似しようとしても2カウント後には裏切られる、簡単には手を繋がせてくれない感じがアドレナリン掻き出してくれるわけです。
メンバーみなさんお顔がとても偉いので、楽曲の世界観の表現にもぴったりなんですよね。なんと美しいことか…

 

とはいえやはりメタル、慣れないジャンルです。神奈川県民にとっての千葉県みたいな。自分にとってはそういうとこにあるんですメタルは。いや実際のところ栃木県くらいの距離感かもしれない。
それでも入口あるいは繋ぎになってくれたとてもキャッチーな曲があります。

前置きがクッソ長くなりましたが、つまりはそれが「君のいない世界」という曲なのです。

・ライブ映像(MVはないのです)

シンダーエラの持ち曲すべての中でもっともポップな曲といえるでしょう。フェスなんかだと他現場のオタクでもこれを待ってました!って感じになるのだろうと思います。BiSでいったら「nerve」、B'zでいったら「ultra soul」みたいな。

メロディーが非常にポップなのはもちろんのこと、重厚に刻まれる重低音ギターリフに、スリリングに絡み合うスピード感のあるストリングスが素晴らしいアクセントになっています。
加えて構成自体は典型的なJ-POPのそれながら展開が非常に多彩で、Cメロからラスサビを繋ぐストリングスの鋭利さをフィーチャーしたブリッジとか、二段構成となっているサビの間にさらにそれまで登場しなかったセクションを挟み込むラスサビとか、1曲に詰め込まれているアイデアが飛び抜けて豊富なんですよね。
振付においてもサビという一番の見せ場で「耽美×百合」というシンダーエラのコンセプト&メンバーの拝むのたやすい麗姿ゆえに表現できる独自のエッセンスを惜しげもなくぶちかまし(みつこさんいつもみあねあみのおみあしをありがとうございます)、およそ「シンダーエラとはなんぞや」という問の答えがすべて詰め込まれていると言っても過言ではない、文句無しの代表曲だと思うわけです。

しかも何が最高ってこれがデビュー曲なことですね。ポルノグラフィティでいったら「アポロ」みたいな。最初から強いですよね。漫画でいったら「鋼の錬金術師」みたいな。(主人公が最初からLv.100)

展開の多彩さについては海外のファンの方が投稿しているギターカバー動画だとよりわかりやすいと思います。この方、現場でお見かけしたことあるな。

イデア豊富でデビュー曲と来たらこれはもう奥田民生でいうところの「愛のために」ってとこですね。1曲に対し数曲分のアイデアを盛り込んだらしく、「もったいないことをした。もう二度とこんなことはやらない」と口にしたそうです。民生って感じですね~。

奥田民生 - 愛のために 

※公式MVとかないので原曲音源使ったYouTuberのギターカバー動画でご容赦願います

あとはまぁ余談ですがこのストリングスのスリリングさに自分は痺れているわけですが、自分の中でその原点となった曲も紹介しておきます。

B'z - MONSTER

※これも公式MVとかないので以下略
これある日B'zのHP開いたらいきなりこのイントロ流れて「ニューアルバム発売!」って告知されたんでマジでびっくりしましたね。ゾクゾクしました。高1の頃です。

 

THE YELLOW MONKEY - 砂の塔

※これは公式のMV

沢田研二のヒット曲などを手掛けた歌謡曲の大御所・船山基紀がストリングスアレンジを手掛けたそうです。これまたスリリングで鳥肌モンの弦編曲です。

売れてる人たちを聴くと基本的にはひとつのジャンルを貫きながらも、幅広く多彩な要素を取り入れるってことをやっているのがわかるんですが、そういうのを何年も何年も聴いているとやっぱり受け皿も広くなってくるのですよね。そういうのも絡んでると思います。


さて今後のシンダーエラさんはどうなるのでしょう。「君のいない世界」のようなキャッチーな枠はこれからまた新しく作られるのか、それともまったく新しい境地を切り拓くのか。

つい最近公開された新曲「YHWH(ヤハウェ)」のMVがこちらです。

ひたっすらギターリフです。徹底的にギターリフ。
そして時にリフと共に刻むように、時に捧げるように解き放つメロディー。最後なんか「導き給え」「赦し給え」ですからね。神性・聖性を全面に推し出した宗教音楽的なメタルといえます。レリジョン・メタル?
この感じのボーカリゼーションは「Well」とか「暗赤の薔薇」にも通ずるものがありますね。

それでいてかなりアイドルらしいMVに仕立てています。ロケーションがまた開放感あって曲にマッチしてますね。もうなんかアイドルってなんでもポップにできちゃって本当にすごいな…。言うてもだいぶ祈っておられますのでキャピキャピとかはないです。あと衣装のクラシックお嬢様感が明るく開けた雰囲気でとても良いです。

意外とサクッと終わるのも痺れますね。なんと3分ちょいしかありません。パンクでもないのに。

 

かなり大箱映えする曲だなと思っていて、なんならもう少し規模が大きくなってから登場させても良かったような気はしますが、既にライブで披露している新曲たちの中でこの曲をリード曲にしたことには何か理由があるような気がしてなりません。
今後用意されている新曲たちがかなり攻めていて、それを出すための布石だったり……とか。

ともあれこういった明るい曲調なのもすごく珍しいので、シンダーエラの幅を大きく拡げた1曲なのではないでしょうか。まぁこれはあれですね、だいぶ好きですね。

ちなみにどういうわけかうゆゆかさんが石積みの刑に処されてますが、もしかしてメンバーそれぞれ何らかの罪をあてがわれた演出がされているのでしょうか。f:id:rayblues:20211029005452j:image


そういえば、ああまず特定のアーティストを指してをメタルだと言うと方方からなんか言われそうなので「めっちゃ低音のギターリフがうるさく鳴ってるジャンル」という言い方をしますが、そのあたりのところで、人生の中のほんの1週間くらいだけSlipknotをイヤホンで爆音で聴きまくってた時期があったんですね。前職で精神的に追い詰められすぎて人として限界迎えてた時なんですけど。

なんかこういうのってテンション上げる時に聴きそうなイメージがあると思うんですけど、自分が感じていたのは真逆で、めちゃくちゃ癒されてました。ギターリフが重くてうるさいほど癒されるという。あとはメロディー的なことももちろんありますね。

他にはシューゲイザーだとか、それに限らずギターを放流するようにかき鳴らす感じの曲ですね。吉井和哉「シュレッダー」とか。

吉井和哉 - シュレッダー

これなんかはライブver.だともっとその感じが出ますね。サブスクにあったりします。

 

つまるところこういう音楽でエレキギターが鳴らしてるのってノイジーな轟音なわけで、それに癒しを感じるっていうのは、つまりは「滝」なんですよ。
滝……好きなんですよねえ。。高校生の頃ダイソーで滝の音だけを収録したCDを買って、それが今なお人生におけるベストCDの上位にあるんですけど、すごく癒されるんですよ。滝違いで5トラックとか収録されてるんですけど。
新潟に旅行いったときはホテルまでの道すがらにたまたま見つけた看板に書いてあった滝を見ようと寄り道で軽く山登りしたり、広島旅行では往復6時間歩きで秘境の山奥まで滝見に行ったりしました。
滝っていうのはもう、ひとつの現場ですよ。とめどなく流れる水流の勢い、解き放たれた空間に響き渡る轟音。野外ライブです。帰るときの気持ち、ライブ終わりと似てます。音楽ライブに行けないなら滝を見に行けばいいじゃないみたいなとこすらあります。

だからもうざっくり言うと、滝のように轟音でかき鳴らすギターからはマイナスイオンが出てるわけですね。大自然の伊吹を人間の作った楽器と電気で作り出してるんですから、もう人の行いというのもまた神秘的で尊いってなもんです。

そういったものと聖性や神々しさを演出するシンダーエラのボーカリゼーションはとても相性が良く、「暗赤の薔薇」「死返し」なんかまさにそれなんですよね。サビのコード感なんかもすごく良いんです。浴びる曲という感じです。好きなんですよこの2曲……「死返し」なんかは一方でイントロのリフなんかはヒップホップのトラックっぽかったりもしてミクスチャーロックかな?と最初思ったくらいで、それもまた別件でツボに入るという個人的にかなり美味しい曲です。海外公演とかやることがあったら振付一部変えなきゃいけないだろうなぁとは思いますが。(ハンドサイン的な意味で)
こういう曲たちのもまた「YHWH」へ至る道筋だったのかなというか、必然性を感じますね。

 

とりあえずこれだけ書いておきながらオチがないので、再ゴミ「YHWH」で祈りを捧げる尊い推しメンのスクショをご覧ください。


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オタクはいつだって推しメンの幸せを祈っていますよ。